Hunsdiecker反応に代表されるカルボキシル基を一段階でハロゲンに変換する反応は有用な分子変換反応の一つとして知られている。この反応は150年以上前に初めて発見されたにも関わらず、これまで不斉合成への応用に成功した例はなかった。本研究では独自に開発したキラルアミン触媒を用いて、βーケトカルボン酸の脱炭酸的な不斉塩素化反応を最高98%eeで達成した。カルボン酸の脱炭酸的ハロゲン化反応の不斉化に初めて成功した例となり、学術的に意義があると言える。また、得られたα-クロロケトンはSN2反応により様々なキラル化合物へ誘導できることから、医農薬品合成等への応用が期待できる。
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