研究実績の概要 |
研究計画の通り、アクリルアミド(AAm)-アクリロニトリル(AN)共重合体、ベタイン誘導体(ADPS)-ベンジルアクリルアミド(BzAm)共重合体、およびウラシル誘導体(AU)-AAm共重合体について、各構成ユニット比を変化させた高分子をランダム共重合体として合成した。また、蛍光団としてベンゾフラザンおよびベンゾクマリンをごく微量含むAAm-AN共重合体を合成した。得られた高分子のキャラクタリゼーションをNMR, IR, GPC, UV-Visの各種機器測定により行ったのち、温度応答挙動を種々の測定条件下によって確認した。なお、変化させた測定条件は、溶媒(水および重水)、高分子の濃度、共存するイオンの種類と濃度、共存する界面活性剤の種類、昇温降温速度である。各々の高分子の温度応答挙動は非常に再現性が高く、また合成時のロット間差による挙動の差もほとんど認められなかった。既報の通り、AAm-AN共重合体ではANユニットの比が大きくなるほど水溶液の相転移温度(UCST温度)が高くなるという、明確な傾向が認められ、その一般性が確認された。さらに蛍光団を含むAAm-AN共重合体の水溶液に対して温度を変化させながら、蛍光スペクトルおよび蛍光寿命の測定、ならびにヨウ化カリウムを用いた消光実験を行った。現在は、それら実験データの解析を進めながらUCST型温度応答性高分子の機能メカニズムの解明に取り組んでいる。
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