本研究課題では、バイポーラ電極(BPE)アレイデバイスをワイヤレスな次世代センシングシステム開発のプラットホームと位置付け、超小型・省電力・高感度な迅速・簡便スクリーニング系を構築する。種類の異なるタンパク質や核酸の生体分子および標準電極電位の異なるレドックスを任意の場所にパターニングする技術と組み合わせ、自律型の新規大規模多項目分析法を提案する。電気化学イメージングの研究蓄積を活用し、デバイスの局所における電位分布や、従来法では観測不能な局所電流分布のマッピングに挑戦することにより、理論的根拠に基づいた効率的なデバイスデザインに反映させる。 今年度は、BPEアレイデバイスをフォトリソグラフィーにより作製し、各反応サイトにおける反応条件の均一性が担保された系において多項目分析を実施した。閉鎖型のBPEアレイデバイスを設計することにより、省電力化および各反応サイトの独立性を保ち、異なるBPE間での交差反応を抑制できた。具体的には、電気化学発光と溶存酸素の還元反応を組み合わせることにより、細胞の呼吸活性を評価した。亜硫酸ナトリウムを加えて酸素濃度を調整した溶液を用いて発光強度の検量線を作成した。複数の細胞試料の呼吸活性を測定ウェルごとに評価した。カーボンナノチューブに加え、Auワイヤーをアレイ化した閉鎖型のBPEアレイデバイスを作製した。試料の表面電荷をマッピングする手法として、イオンコンダクタンス顕微鏡SICMを活用した。
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