研究課題/領域番号 |
16K14013
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 雄介 東北大学, 理学研究科, 助教 (90583039)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | エキソソーム / 蛍光プローブ / 高曲率性 / イメージング |
研究実績の概要 |
本研究ではエキソソーム解析に特化した分析ツールの開発を目的として、エキソソームの高曲率性膜を識別する蛍光性ペプチドプローブの開拓を目指す。高曲率性膜の結合モチーフとなるα-helixを分子内クロスリンクで効果的に誘起し、さらに疎水場感受性蛍光色素を付与することで、エキソソーム(直径30-120 nm)に対して優れた結合能を示す蛍光応答型ペプチドプローブを開発する。 アポリポプロテインA-IのC末端22残基をベースとして、そのN末端にNBD付与し、N末端から5番目、9番目をエチルスペーサーにより分子内クロスリンクさせたペプチドを固相上にて合成した。固相からの切り出し後、逆相HPLCにより単離精製した。 CDスペクトル測定により、合成したプローブはPBS緩衝液中で46%程度のα-helix含有量を有していることが分かった。この値はクロスリンク化していないコントロールペプチドと比べて22%も大きいものであり、分子内クロスリンクがα-helix構造の誘起に有用であることが分かった。次に、phosphatidylcholineから成る合成リポソームに対する蛍光応答を検討した結果、プローブが高曲率性を有するリポソームに選択的に結合し、NBD由来の発蛍光応答を示すことを見出した。この蛍光応答は、コントロールペプチドと比較して、著しく大きなものであることから、分子内クロスリンクによりリポソームに対する結合力が強化されることが示唆される。ここで用いた2つのペプチドプローブはリポソーム結合時において同程度のα-helix含有量(55%)を示すことから、合成したプローブでは分子内クロスリンクによりα-helix構造が効果的に誘起されるこどで、リポソーム結合におけるプローブの構造変化に伴うエントロピー損失を低減される結果、高い結合力を発現したものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で提案するペプチドプローブの鍵となる、ペプチド構造の精密制御により、高曲率製膜に対する高い結合力が発現する可能性を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
クロスリンク化部位、クロスリンク剤の種類を変化させた一連のプローブ群を合成し、そのα-helix形成能、合成リポソームに対する基礎性能を網羅的に評価し、プローブ機能の最適化を図る。最適化されたプローブを用いて、細胞から分泌されるエキソソームならびに体液中に含まれるエキソソームに対する結合能、蛍光応答を評価し、エキソソーム検出能を評価する。その後、培養細胞中におけるプローブのエキソソーム蛍光ラベル化へと展開し、受容細胞へのエキソソーム融合過程のイメージング解析を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実験に必要な試薬で2706円で購入できる適当なものはないため、次年度の消耗品購入に使用することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度始めの試薬購入の際に使用する。
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