• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

3次元マッピングに向けた単一粒子電位走査型プラズモンセンサの開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K14017
研究機関東京大学

研究代表者

立間 徹  東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90242247)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードプラズモン共鳴 / 化学センサ / ナノ材料 / 2次元マッピング
研究実績の概要

2次元配置した金属ナノ粒子をプラズモンセンシングに用い、2次元マッピングを行うことを目的とした。従来の照射波長走査を行うものではなく、単一波長光の照射下において、ナノ粒子の電位を走査するタイプのセンサとすることで、屈折率変化の簡便な2次元マッピングを可能にすることを目指す。
28年度は、金ナノロッド(棒状金ナノ粒子)を合成して透明電極上に分散させて、単一粒子からの散乱光スペクトルを暗視野顕微分光法にて取得したものを解析した。その結果、ナノ粒子群(アンサンブル)を用いた場合と類似したスペクトルを示すことがわかった。試料を浸漬する溶液の屈折率を高くした場合には、屈折率変化に概ね比例して、ピーク波長の長波長側へのシフトが見られた。種々の電極電位において同様の測定をしたものについて、散乱スペクトルの電位依存性を調べると、電位が正側へとシフトするにしたがい、散乱ピーク波長が長波長側へとシフトすることがわかった。やはりナノ粒子群を用いた場合と同様に、そのシフトは概ね線形であった。解析により、適切な一定照射波長において電位を走査した場合、ピークが得られることがわかった。また、浸漬する溶液の屈折率を高くすると、ピーク電位は負側へとシフトすることがわかった。ピーク電位シフトと屈折率変化とは概ね比例関係にある。このように、粒子群を用いた場合と同様の挙動が見られることがわかった。また、ナノ粒子のアレイを作製し、粒子群としての光学特性などを調べた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通り、単一金属ナノ粒子からの散乱光スペクトルを暗視野顕微分光法にて取得でき、ナノ粒子群を用いた場合と類似したスペクトルを示すことがわかった。屈折率依存性についても調べることができた。電極電位依存性についても調べることができた。電位感度を評価することができ、電位走査による測定も行うことができた。ピーク電位と屈折率の相関についても調べることができた。粒子の形状等に対する依存性は調べることができていないが、粒子アレイの作製ができており、これらを総合的に考えて、十分順調に進行しているといえる。

今後の研究の推進方策

異なる複数のプラズモン共鳴金属ナノ粒子(金ナノロッドなど)の単一粒子散乱スペクトルを取得し、屈折率依存性、電位依存性などについて詳しく調べる。異なるサイズまたは形状の金属ナノ粒子(ナノ粒子ダイマーなどを含む)について調べ、その挙動の違いについて明らかにする。たとえば、単一ナノ粒子の散乱ピーク波長と屈折率感度の相関、散乱ピーク電位と屈折率感度の相関などについて検討する。単一ナノ粒子電位走査型センシングにおいて、どのようなタイプのプラズモン共鳴金属ナノ粒子が屈折率感度等の観点から有利であるか、明らかにする。有限差分時間領域法(FDTD法)などを併用して解析を行う。また、2次元金属ナノ粒子アレイ(またはアンサンブル)の測定を行い、2次元マッピングの可能性について検討・評価する。3次元マッピングを行う場合の走査用チップの形状についても検討を行う。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] メルボルン大学(オーストラリア)

    • 国名
      オーストラリア
    • 外国機関名
      メルボルン大学
  • [雑誌論文] Plasmonic Control and Stabilization of Asymmetric Light Scattering from Ag Nanocubes on TiO22017

    • 著者名/発表者名
      K. Saito, K. Setoura, S. Ito, H. Miyasaka, Y. Mitsuda, and T. Tatsuma
    • 雑誌名

      ACS Appl. Mater. Interfaces

      巻: 9 ページ: 11064-11072

    • DOI

      DOI: 10.1021/acsami.7b01457

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] プラズモニックナノ粒子の光機能材料およびデバイスへの応用2017

    • 著者名/発表者名
      立間 徹
    • 雑誌名

      光技術コンタクト

      巻: 55 ページ: 39-44

  • [雑誌論文] プラズモン誘起電荷分離2017

    • 著者名/発表者名
      立間 徹
    • 雑誌名

      化学工業

      巻: 68 ページ: 262-266

  • [雑誌論文] Enhancement of Plasmon-Induced Charge Separation Efficiency by Coupling Silver Nanocubes with a Thin Gold Film2016

    • 著者名/発表者名
      K. Akiyoshi, K. Saito, and T. Tatsuma
    • 雑誌名

      J. Photonics Energy

      巻: 6 ページ: 042505

    • DOI

      10.1021/10.1117/1.JPE.6.042505

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 電気化学を利用した局在表面プラズモン共鳴センサ2016

    • 著者名/発表者名
      立間 徹
    • 雑誌名

      化学センサ

      巻: 32 ページ: 154-158

  • [学会発表] 酸化チタン上Auナノホールアレイの光学特性2017

    • 著者名/発表者名
      齋藤 滉一郎, 相澤 憂 , 立間 徹
    • 学会等名
      第64回応用物理学会春季学術講演会
    • 発表場所
      東京、パシフィコ横浜
    • 年月日
      2017-03-14
  • [学会発表] 局在型表面プラズモン共鳴を利用した化学/バイオセンサー2017

    • 著者名/発表者名
      立間 徹
    • 学会等名
      日本真空学会2017年1月研究例会・日本表面科学会第88回表面科学研究会・日本表面科学会第6回関東支部セミナー
    • 発表場所
      東京、機械振興会館
    • 年月日
      2017-01-18
  • [学会発表] 金の薄膜を被覆した金属ナノ粒子によるプラズモン誘起電荷分離効率の向上2016

    • 著者名/発表者名
      秋吉一孝・齋藤滉一郎・立間 徹
    • 学会等名
      第6回CSJ化学フェスタ2016
    • 発表場所
      東京、タワーホール船堀
    • 年月日
      2016-11-14
  • [学会発表] Site-Selective Etching of Silver Nanocubes on TiO2 by Plasmon-Induced Charge Separation2016

    • 著者名/発表者名
      Koichiro Saito, Ichiro Tanabe and Tetsu Tatsuma
    • 学会等名
      Pacific Rim Meeting on Electrochemical and Solid-State Science 2016 (PRiME 2016)
    • 発表場所
      Honolulu, U.S.A
    • 年月日
      2016-10-04
    • 国際学会
  • [学会発表] Development of Potentiometric LSPR Sensors with Au and Au@TiO2 Nanoparticles2016

    • 著者名/発表者名
      Kazutaka Akiyoshi and Tetsu Tatsuma
    • 学会等名
      Pacific Rim Meeting on Electrochemical and Solid-State Science 2016 (PRiME 2016)
    • 発表場所
      Honolulu, U.S.A
    • 年月日
      2016-10-04
    • 国際学会
  • [学会発表] Plasmon-Induced Charge Separation: Fundamentals and Applications2016

    • 著者名/発表者名
      Tetsu Tatsuma
    • 学会等名
      JSAP-OSA Joint Symposia
    • 発表場所
      Niigata, Japan
    • 年月日
      2016-09-14
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 金薄膜被覆銀ナノキューブによるプラズモン誘起電荷分離効率の向上2016

    • 著者名/発表者名
      秋吉 一孝、斎藤 滉一郎、立間 徹
    • 学会等名
      2016年度光化学討論会
    • 発表場所
      東京、東京大学駒場第一キャンパス
    • 年月日
      2016-09-07
  • [学会発表] Control of morphology and optical properties of silver nanocubes based on plasmon-induced charge seperation2016

    • 著者名/発表者名
      Koichiro Saito, Ichiro Tanabe and Tetsu Tatsuma
    • 学会等名
      2016年度光化学討論会
    • 発表場所
      東京、東京大学駒場第一キャンパス
    • 年月日
      2016-09-06
  • [学会発表] 電位走査型LSPRセンサの開発2016

    • 著者名/発表者名
      立間 徹・西 弘泰・廣谷 沙耶香
    • 学会等名
      第76回分析化学討論会
    • 発表場所
      岐阜、岐阜薬科大学・岐阜大学
    • 年月日
      2016-05-28
  • [備考] 立間研究室ホームページ

    • URL

      http://www.iis.u-tokyo.ac.jp/~tatsuma/

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi