研究課題/領域番号 |
16K14020
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中田 芳樹 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 准教授 (70291523)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 超解像顕微鏡 / STED顕微鏡 / 構造化照明顕微鏡 / 干渉 / 位相 / 励起 / 脱励起 / レーザー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、超解像度顕微鏡および構造化照明顕微鏡の両方の特徴を有した新しい顕微鏡技術を開発する事である。STED・RESOLFT顕微鏡で用いる励起レーザー及び脱励起レーザーについて、これまでに開発した干渉パターン制御技術を活用し、これら2波長の干渉パターンを半周期ずらして重ね合わせた「2波長構造化照明」を開発する。これを用いる事で、干渉パターンと直交する方向が超解像を達成した画像を測定する。さらに2波長構造化照明の方向を変えて複数の画像を取得し、構造化照明顕微鏡と同じ画像演算処理で合成画像を得る。従来の超解像顕微鏡と構造化照明顕微鏡の高速イメージングを両立する、革新的な顕微鏡を開発する。本年度の実績は以下である。 ①励起光と脱励起光に干渉パターンを用いる方法について計算をおこなった。DOEとフーリエ光学系を用いた干渉パターン生成装置では2波長干渉パターンの周期と位置が一致する。そこで、平行平板を用いた干渉パターンのシフトについてシミュレーションを行い、2波長の干渉パターンが半周期ずれる平行平板の厚さと入射角の条件を明らかにした。 ②上記の実験装置を構築した。2波長同軸2ビームを生成するためにダイクロイックミラーを用い、厳密に同軸にするためにポインティングモニターを構成した。同軸2ビームに透過型回折格子とフーリエ光学系を用いることで干渉パターンを生成した。 ③上記の装置を用いた2ビーム干渉パターン生成・制御実験をおこなった。干渉パターンはCMOSカメラで直接観察した。また、平行平板を挿入し角度調整することで両者の位置を半周期ずらすことに成功し、さらに①のシミュレーション結果と一致することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画である2波長同軸レーザー発生装置の開発、及び2波長同時干渉パターン生成装置を開発した。さらに2波長干渉パターンを半周期ずらす条件の探索と実験に成功し、平成29年度に予定していた研究内容の一部を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
顕微鏡下における2波長干渉パターン照明装置を構成する。次に、単一波長の干渉パターンを用いて蛍光ビーズの構造化照明顕微測定をおこなうことで、回折限界以下の分解能の達成を目指す。その後、2波長干渉パターン照明を用いたSTED・RESOLFT超解像測定を行う。まず、被測定試料に励起光と脱励起光を照射し、両者の照射強度と蛍光強度の関係を実測する。次に構造化照明STED・RESOLFTを行いながら蛍光パターンを撮像する。蛍光パターン位置のシフトと回転で複数の画像を撮像し、構造化照明顕微鏡の原理を利用して画像を再構築する。
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