研究課題/領域番号 |
16K14026
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
中西 淳 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, グループリーダー (60360608)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ナノバイオ / シグナル伝達 / 細胞・組織 / 生体材料 / ケージド化合物 |
研究実績の概要 |
通常は液性因子として作用する成長因子などを材料に固定化すると活性や効能が顕著に変化するが,そのメカニズムについては不明な点が多い。本研究では,これら非拡散性因子を細胞に暴露する「タイミング」と「量」の自在に制御する方法を開発することで,当該因子由来の細胞応答の時間分解分析を実現することを目的としている。本年度は,通常は核内受容体に作用するエストラジオール(E2,女性ホルモン)の細胞膜での作用(非ゲノム作用)に注目し,細胞に暴露するE2の「量」を制御する方法の開発に取り組んだ。具体的な戦略としては,ガラス基板上にum/nmサイズの金領域をアレイ状に形成し,当該非拡散性因子を修飾することで,金領域のサイズや間隔に応じて細胞に暴露する非拡散性因子の「量」をコントロールする。まず,フォトリソグラフィーにより,金領域(φ=2 μm)の間隔を変化させた基板を作製し,それらを走査型顕微鏡で確認した。次に,マイクロパターン基板と同じ方法で,別途用意した全面金基板にE2を修飾し,QCM-DおよびSPRによりその修飾過程とE2の生理活性の精確な評価を行った。最後にマイクロパターン化基板のガラス領域に細胞接着性リガンド(cRGD)を,金領域にE2を修飾した基板を作製し,そこに付着させたMCF-7細胞の応答を解析した。E2を修飾していないコントロールの基板では,ERKの活性化は細胞接着時の一時的なものであったが,E2固定化基板では,その活性化が持続した。さらに,E2固定化した基板は,通常の遊離状態のE2とは異なり,細胞増殖を更新しないことも確認した。これらより,本手法が材料に固定化したE2の作用の解析に有用であることが示された。以上の結果を論文に投稿し,採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の2大目標であるところの,細胞に暴露する非拡散性因子の「量」と「時間」の制御のうち,その一方を完遂し,論文にも掲載されたため。エストロゲンシグナル伝達の非ゲノム作用の解析方法としての生物学的な意義があることも特筆に値する。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に確立した系に,新たに「時間」制御の要素を組み込み,非拡散性因子の時間分解分析法として完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
ポスドクの雇用を翌年度に見送ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
H29年度に本研究を遂行するポスドクを雇用する。
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