研究課題/領域番号 |
16K14027
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
武井 史恵 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 進学課程, 准教授 (30252711)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マイクロRNA / RT-PCR / 蛍光分子 / ヘアピンプローブPCR |
研究実績の概要 |
本提案では、PCRを基盤とした簡便、高感度なmiRNA検出法の開発を主目的とし、HP-PCR法を使ったmiRNA検出法を開発する。この方法を実用的な技術に仕上げするために、下記3つの目標を設定した。1) RT-HP-PCR法を使ったmiRNA検出法の構築、2) DNAプローブを用いた蛍光増大型HP-PCR法(Hpro-PCR法)とmiRNA検出法の開発、3)新規蛍光分子の開発によるHP-PCR法、Hpro-PCR法の高性能化。本年度は主に2) DNAプローブを用いた蛍光増大型HP-PCR法(Hpro-PCR法)とmiRNA検出法の開発を行なった。前年度、我々が開発したHP-PCR法を使ってmiRNAの検出を行なうと、miRNAが検出可能であることが確認できた。そこで、蛍光増大型のHpro-PCR法もまた、miRNAの検出に応用できるのでないかと考えた。HPro-PCR法は、DNAの特殊構造を構築できるヘアピン型DNAプローブを設計し、PCRのプライマーの5’末端にそのプローブと相補的なDNAタグをつけ、PCR前にはそのヘアピン型プローブが開いた形になっている。PCRが進行するに従い、DNAプローブはタグは配列から剥がされ、剥がされたタグは自発的にヘアピン構造をとる。DNAの特殊構造に特異的に水素結合する蛍光分子DANPがそのヘアピンに結合すると蛍光が発せられ、PCRの進行がモニタリングできる。実際にOne-step RT-PCRキットを使って逆転写からPCRまでを連続して行うと蛍光強度変化が観測され、この方法で簡単にmiRNAの検出ができることが示唆された。また、プライマーのタグは、プライマーとテンプレートがアニーリングされるときにも大きく寄与しており、タグがない場合はPCRが進行しないことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、miRNA検出用のプライマーの設計はほぼ完了している。また、miRNAとなる前のpre-miRNAとmiRNAの検出を区別することが可能か否かを検討したいところ、プライマー部分が短いものであれば、miRNAのみの検出が可能であることが明らかとなった。現在実サンプル(血清)使い効率的に検出が可能かどうかを検討している。この場合、量が少ないために、プライマー等の設計の工夫は必要である。 また、最もRT-PCR効率の良い酵素のキットの検討も行なった結果、one step-RT-PCRより、Two step法の方が、感度が良いことも明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
(今後の推進方策)検出の可能性がある程度わかってきたので、この研究をさらにPCRを基盤とした簡便、高感度なmiRNA検出法の最適化を行う。具体的な方法としては、様々な酵素を試し、もっとも効率よく進行するキットの開発を行う。またさらに感度を上げる必要があるため、プローブ、プライマーの設計も行う。小分子の方からもアプローチし、当初目標である3) 新規蛍光分子の開発によるHP-PCR法、Hpro-PCR法の高性能化を目指す。さらに至適条件を使って、夾雑物存在下でも成熟型RNAを特異的に検出可能な系に仕上げる。最後に実際の現場を想定して患者の血液から抽出した血清を用いてRT-Hpro-PCR法でのmiRNA検出が可能であることを実証する。 (次年度使用額が生じた理由と使用計画) (理由)予定していたRNA、DNA、試薬の購入費が計画していたほどかからず、また器具もすでにあったため、消耗品費が当初予算よりも少なくなったため。 (使用計画)本年度は大量にRNAを使った実験を行うために、予定通り、消耗品費として使用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は人件費に使用する予定であったが、6月に研究補助員が退職したのち、適正な人材が見つからなかったため、続いて探すために次年度使用額とした。
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