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2018 年度 実績報告書

蛋白質異常凝集を抑制するペプチドナノファイバーの脳内移行の二重経路化

研究課題

研究課題/領域番号 16K14034
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

田中 直毅  京都工芸繊維大学, 分子化学系, 教授

研究期間 (年度) 2016 – 2018
キーワードアルツハイマー病 / タンパク質異常凝集 / 卵白アルブミン / アミロイド線維
研究実績の概要

アルツハイマー病は、アミロイドβ(Aβ)蛋白質が脳内で凝集することにより引き起こされる。これまでの研究で、Aβ蛋白質異常凝集を熱ショック蛋白質由来のペプチドナノ集合体によって抑制できることを明らかにした。さらに、脳内移行性を促進するペプチド配列を付加することで、ナノ集合体の脳内への送達およびアルツハイマー病疾患モデルマウスの病状の改善にも成功した。しかし、この系ではナノ集合体を大量に投与する必要があり、治療薬としての利用には脳内送達効率の向上が課題であった。そこで、本研究では蛋白質異常凝集抑制能を持つナノ会合体を新たに作製し、そこに脳内移行を促進する二種類のリガンドを導入することで、脳内移行性に優れた凝集抑制剤を開発することを狙いとした。
最初に、ナノ会合体を作製するためのベースマテリアルとして、卵白アルブミン(OVA)のN末端領域に相当するペプチドpN_<1-22>に着目し、ナノ集合体を作製した。pN_<1-22>配列はOVAの分泌シグナル配列と一部重複することから、何かしらの脳内移行促進作用があることを期待した。しかし、このナノ集合体はAβの凝集を抑制したものの、Aβの細胞毒性を抑制することは出来なかった。そこで次に、ベースマテリアルとして卵白タンパク質(OVA、リゾチーム、オボトランスフェリン)そのものを選択し、既報に従ってO/Wエマルション法によりナノ粒子を作製した。いずれのタンパク質を用いた場合も、負の表面電荷をもつ粒子径およそ100nmのナノ粒子を形成した。また、いずれのナノ粒子もAβの異常凝集を抑制することが確認されたが、興味深いことにナノ粒子を構成するタンパク質の種類の違いによりAβとの相互作用パターンが大きく異なることが分かった。今後は研究分担者が研究を引き継ぎ、卵白タンパク質ナノ粒子がAβの細胞毒性を抑制することができるかどうかを調査するとともに、脳内移行を促進する糖鎖やペプチドなどの導入についても検討する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (7件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 卵白アルブミン分泌シグナルペプチドが形成するナノ粒子によるアミロイド線維形成抑制2018

    • 著者名/発表者名
      和田愛以、和久友則、田中直毅
    • 学会等名
      第40回日本バイオマテリアル学会大会
  • [学会発表] PEG化卵白タンパク質ナノ粒子によるアミロイドβの線維化抑制2018

    • 著者名/発表者名
      濱脇大河、和田愛以、和久友則、田中直毅
    • 学会等名
      第12回バイオ関連化学シンポジウム
  • [学会発表] 卵白アルブミンの分泌シグナルペプチドが形成するナノ会合体によるアミロイド線維形成抑制2018

    • 著者名/発表者名
      和田愛以、和久友則、田中直毅
    • 学会等名
      第13回バイマテリアル学会関西ブロック若手研究発表会
  • [学会発表] PEG化卵白タンパク質ナノ粒子によるタンパク質異常凝集抑制2018

    • 著者名/発表者名
      濱脇大河、和田愛以、和久友則、田中直毅
    • 学会等名
      第13回バイオマテリアル学会関西ブロック若手研究発表会
  • [学会発表] 卵白タンパク質ナノ粒子によるタンパク質異常凝集抑制2018

    • 著者名/発表者名
      和田愛以、濱脇大河、和久友則、田中直毅
    • 学会等名
      第28回バイオ・高分子シンポジウム
  • [学会発表] PEG化卵白タンパク質ナノ粒子による病原タンパク質の異常凝集抑制2018

    • 著者名/発表者名
      濱脇大河、和田愛以、和久友則、田中直毅
    • 学会等名
      第64回高分子研究発表会【神戸】
  • [学会発表] PEG化卵白タンパク質ナノ粒子によるタンパク質異常凝集抑制2018

    • 著者名/発表者名
      濱脇大河、和田愛以、和久友則、田中直毅
    • 学会等名
      第67回高分子学会年次大会
  • [図書] アルツハイマー病発症メカニズムと新規診断法・創薬・治療開発 第4章 第3節 アルツハイマー病原因タンパク質の異常凝集を抑制するナノファイバーペプチド医薬の開発2018

    • 著者名/発表者名
      和久友則・田中直毅
    • 総ページ数
      398(うち10ページを分担執筆)
    • 出版者
      株式会社 エヌ・ティー・エス

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公開日: 2020-03-17  

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