研究実績の概要 |
本研究では、光電流を検出シグナルとする高感度電気化学バイオセンサーの開発を目的に、DNA二本鎖形成によって組織化した金ナノ粒子(AuNP)間に生じる増強近接場を利用した光応答システムの構築を行った。光電応答を電気化学シグナルに利用することで、極微量のターゲット核酸(DNA, RNA)を直接検出するセンサーの開発を目指し、以下の項目に焦点をあて研究を行った。増強近接場光によって“超高効率”に色素分子が励起されること、それにより光電流強度の著しい増幅が達成できることを実証し、AuNP/DNA/色素複合体を組織化させたデバイスを用いた光電変換システムの構築と核酸ターゲット検出への応用について検討した。光応答分子としてペリレンジイミド、ポルフィリンをコンジュゲートさせた光応答DNAを作製し、それらDNAを表面修飾した電極の光電応答の計測を行った。分子の光吸収によって電流が発生し、分子を積層させた構造体はさらに強い光電流を生じることを見出した。DNAの二本鎖形成によって、AuNPで表面が覆われた電極を作製し、AuNPのプラズモン吸収に対応する500nm付近の光を照射すると強い光電応答が得られることが分かった。近接場光によって励起される分子の空間配置、用いたAuNPのサイズ、AuNPの電極表面からの距離によって光電応答が変化すること、また電場増強によって光電応答が大幅に強くなることを見出した。
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