研究課題
本研究では、光触媒がしめす酸化分解力に着目し、光触媒を用いてセルロース系バイオマスを分解し、グルコースや希少糖といった有用糖を生産する革新的技術を開発する。具体的には、セルロース系少糖を光触媒によって分解し、出発糖や光触媒の種類が分解後の生成糖に及ぼす影響を調べて有用糖の生産に結びつけるとともに、反応メカニズム解析についても検討する。本研究によって環境にやさしい有用糖の生産技術の確立を目指す。本年度は以下の検討を行った。セルロース系少糖として、始めにセロビオース(二糖)を原料として使用した。セロビオースと光触媒であるTiO2を水の中に分散し、紫外線照射下にて撹拌を行った。上記実験後は、光触媒を除去するために濾過を行い、得られたろ液を分析した。分析手法は質量分析液体クロマトグラフィー、質量分析ガスクロマトグラフィー、NMR、IRを用いて生成物の同定を行った。液体クロマトグラフィーに関しては、得られた糖をABEE(4-アミノ安息香酸エチルエステル)標識し、UV検出器にて検出した。また、糖の他に有機酸や無機ガス等が生成する可能性もあるため、上記と同様に分取・分析を行った。有機酸についてはRID(示差屈折率計)を用いた液体クロマトグラフィーによって検出した。一方、無機ガスについては質量分析ガスクロマトグラフィーにて定量した。以上の結果、二糖であるセロビオースの片側のグルコースが減炭したグルコースとアラビノースからなる希少な二糖が生成していることが明らかになった。また有機酸としては酢酸、ギ酸の生成が示唆された。他にもホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどが生成していた。反応機構を詳細に検討した結果、セロビオースから減炭的に上記の二糖が生成し、その際、有機酸やアルデヒド類が生成したと考えられる。
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