低侵襲ながん治療法である光線力学療法(PDT)の問題点を解決するために、がん細胞で特異的に発現している分子のみを標的とできる「分子標的型PDT(MTPDT)」の確立を目的とした。標的として、NRASタンパク質をコードするmRNAが形成する四重らせん構造とした。 細胞内外での検討の結果、亜鉛を配位したフタロシアニンは光照射により、NRAS mRNAを特異的に切断し、NRASタンパク質の発現量を低下させた。さらに、ヒト乳がん由来のMCF-7細胞を死滅させることができた。このようなNRAS mRNAの切断は、嫌気状態でも可能であったことから、固形がんへの展開も可能となった。
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