本研究では、脆弱なセラミックス材料を対象に新たなコンセプトで粘り強さを付与するための方法を探った。今回は、セリア系酸化物を対象に温度ならびに環境を系統的に変えて機械的特性、酸素欠陥、イオン・電子伝導の変化挙動について検討を行った。機械的特性の重要な要素である縦弾性係数は、還元環境では酸化環境に比べて20%程度低下することがわかった。一方、破壊強度は縦弾性係数とは反対に20%程度向上することが明らかになった。これは、還元環境下において酸素欠陥量の増加に伴って、電子伝導が増加することが影響しているものと考えられる。これにより、酸素不定比性酸化物を探索することで靭性向上に貢献できる材料が開発できる。
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