太陽エネルギーから水分解により水素を製造する方法として金属酸化物の反応性セラミックを反応媒体とする2段階水熱分解サイクルが注目される。しかし、日本のような非サンベルト国で利用するには反応の定温化が必要である。反応性セラミックとして高活性を有するセリアに、光半導体特性を有する金属酸化物をドープし、これを発泡体構造のジルコニアに担持し反応デバイスを作製、これを太陽集光照射によって反応試験し、従来よりも定温において作動する「熱-光ハイブリッド活性反応性セラミックデバイス」を創成することに挑戦する。 昨年度に光半導体特性を有する金属酸化物と、セリウム酸化物(セリア)の完全固溶体を形成できる組成条件を決定し、これらの小型反応デバイスを作製した。これをキセノンアークランプからなる小型太陽集光シミュレータで試験し、有望な結果を得た。今年度は、反応デバイスを大型反応器用に大型化して作製し、韓国エネルギー技術研究院(KIER)の45kW太陽炉で試験した。その結果、ジルコニア発泡体からのドープセリアの剥離が顕著であり、従来のセリアよりも高い活性を得ることはできなかった。これはドープセリアの合成が共沈法によるもので、粒度分布が大きく、これをスピンコートするためにジルコニア発泡体への均一な担持ができないためであると推察された。他の担持法を検討した結果、溶液から直接、発泡体にドープセリアを担持できる蒸発乾固法によって、より均一にドープセリアを担持できることが見出された。
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