研究課題/領域番号 |
16K14057
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
清水 章弘 京都大学, 工学研究科, 助教 (30584263)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | レドックス・フロー電池 / 二次電池 / 再生可能エネルギー / 酸化還元 / 有機活性物 / 電解酸化 |
研究実績の概要 |
太陽光発電・風力発電などの再生可能エネルギーの有効活用を目的とした有機レドックス・フロー電池の開発に向け、正極用および負極用の有機活物質の研究を行った。有機活物質の基礎骨格になりうる様々な有機化合物の酸化還元特性をサイクリックボルタンメトリー測定で調べた。有機活物質の有機電解液への溶解度を向上させ、体積あたりの容量を向上させるために、室温で液体の有機活物質を用いることを着想し、有機化合物に置換基を導入することにより室温で液体の有機活物質を合成した。正極活物質として開発したキノン誘導体は、一分子あたり二電子の酸化還元挙動を示した。レドックス・フロー電池用の充放電セルも開発し、正極にキノン溶液、負極に金属リチウムを用いたレドックス・フロー電池は、現在実用化されているバナジウムを用いた水系のレドックス・フロー電池を上回る容量を示した。さらなる高容量化のために、溶媒を用いないレドックス・フロー電池の開発に取り組み、室温で液体のキノン誘導体と支持電解質を混合させた正極液を用いて充放電試験を行ったところ、有機活物質を用いるレドックス・フロー電池として世界最高のエネルギー密度を達成した。この研究により、溶媒を用いないレドックス・フロー電池という新しいコンセプトを実証することもできた。負極材料の有機活物質についても可逆な酸化還元が可能な候補化合物をいくつか見出し、置換基を導入した誘導体の合成に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正極活物質として室温で液体のキノン誘導体を開発し、一つの目標としていた世界最高のエネルギー密度を実現することができた。充放電セルも開発でき、活物質の濃度や充放電速度の影響を詳細に明らかにすることができた。負極活物質についても候補化合物をいくつか見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
フロー用の充放電セルを開発し、今回開発した溶媒を用いない正極液を用いてフローの条件検討を行う。溶媒を用いない負極液を開発し、今回開発した正極液と組み合わせることにより、溶媒を全く用いないレドックス・フロー電池の開発を目指す。
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