研究課題/領域番号 |
16K14058
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
中川 鉄水 琉球大学, 理学部, 助教 (50647261)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アンミン錯体 / 結晶構造 / X線回折測定 / リサイクル |
研究実績の概要 |
アンモニア回収材料のモデル物硫酸銅の水-アンモニア混合ガス下での反応の熱力学を明らかにするべく、(1)含水アンミン錯体であるCu(NH3)n(H2O)5-nSO4を合成し、結晶構造を決定し、(2)各分圧におけるCuSO4のガス吸蔵圧力と生成物の相関を明らかにすることを目的とした。 ①において各nについての吸蔵圧力を明らかにし、n=5であるCu(NH3)5SO4と、含水アンミン錯体の前駆体として各nにおける無水アンミン錯体を合成した。合成したSAGA-LSにおいて放射光XRDを測定し、そのXRDプロファイルを得た。n=4、5においてはデータベースにない新規回折プロファイルが得られたが、n=3~1の結晶についてはn=4とCuSO4の混合物となっていたことから、相分離が起こっていると考えられるため、合成法を変えるか、in-situ測定が必要であることが明らかになった。新規相に関しては目下構造解析中である。含水アンミン錯体の合成については混合物の状態ではあるが一部得られたため、今後は単相の合成法を確立する。 ②においては、水分圧・アンモニア分圧制御装置を製作した。水分圧の制御はまだ十分ではないが、アンモニア分圧の制御が可能となり、GC、IRを用いた水・アンモニア定量環境を整えた。ただし水については精度が低いため、今後は改良する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画から進捗度80%程度である。ただしCu(NH3)n(H2O)5-nSO4の試料作成時に相分離が起きやすいために目的とする試料の作成に工夫が必要であることが明らかになり、合成法の確立に時間がかかっている。また、水分圧の制御が難しく、容器に吸着する水分量が無視できないほど多いことなどを考慮する必要があるため、当初の計画とは異なるアプローチが必要であることが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度行った放射光XRD測定で得られたプロファイルの解析を進め、結晶構造の決定を行う。 各nに対する無水アンミン錯体の合成を行い、それぞれ構造決定を行う。その上で作成した無水物を湿度制御した空間で放置し、含水アンミン錯体を合成する。同時に硫酸銅の水和物から水分圧の無い状況を作り出しながらアンモニア加圧をして合成を試みる。構造決定は放射光施設によりXRD測定行い、リートベルト解析を行う。分圧の制御については装置を引き続き改良するが、時間がかかる場合はこちらを切り捨て、構造決定に注力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
額が小さく、物品購入に使用できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の物品購入費に充てる予定である。
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