研究課題/領域番号 |
16K14059
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
辻内 裕 秋田大学, 理工学研究科, 講師 (70250868)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 半導体 / 水素化アモルファスシリコン / 積層薄膜 / 水素量 / 膜厚 / 色素 / 光吸収 / 波長 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、太陽電池にも用いられている半導体の一種の水素化アモルファスシリコンと酵素であり色素であるビタミンAの組み合わせで「人工のフォトニックシステム」の可能性について研究を行ってきた実験的理論的検討の上に、水素化アモルファスシリコンと人工色素分子による可視光認識素子の作製を試み、連続積層(a-Si:H)薄膜の水素濃度と膜厚の制御で、吸収波長シフト制御が拡張できるか明らかにすることである。 研究期間内に明らかにすることとして、申請者のこれまでの生物物理学、分子エレクトロニクスの研究成果を踏まえ、半導体の水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)と人工色素分子による可視光認識の信号を、(a-Si:H)の中の水素濃度と膜厚の制御で、吸収波長シフト制御が拡張できるか検討した。 水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)薄膜をECRプラズマスパッタリング法により、ArガスとAr- H2の混合ガスを、ターゲットにSi結晶板を用い、3.0×10-6Torr程度に排気後、磁場とマイクロ波を印加し、プラズマを発生させる条件で、連続積層作製を行い、30通り以上作製に成功した。 次に、紫外線発色ハイドロゲル厚膜の作製を行ったうえで、UV励起発色・加水急速無色化型ゲルを見出した。現在、そのゲル内部に機能性分子を包含させ、分子の機能特性について考察している。また、ビタミンAのアルデヒド型であるレチナール(RetA)を分子内部で結合してできている色素蛋白質で水素イオン輸送膜蛋白質であるバクテリオロドプシン(BR)を脂質二重層に組み込み、ゲル内に含有させて、3量体を形成し、基底状態BR568で568nmの可視光を吸収して励起状態(K590)に変化後構造変化により緩和して中間体Mx410の変化するプロセスが観測されるかについて検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)薄膜の連続積層作製には、装置のチューニング、制御ほか、独自に製作しなくてはならないシリコン結晶をシリンダー状に形成したターゲットなどの製作など多数の実験的ハードルをクリアできなくてはならないが、30通り以上作製に成功したことで、本研究の試験体のバリエーションが明るいものとなったことによる。 次に、光吸収波長制御の素子について、透明かつ紫外線で発色するハイドロゲル厚膜が耐久性高く再現性の高い試験体として繰り返し利用ができることを見出したことで、低分子色素のほかに色素蛋白質の半導体膜への積層の可能性が拡がったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度、生体膜に近い有機薄膜作製法を検討しながら、(MultiLater(a-Si:H)薄膜)の技法を応用した半導体の水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)と人工色素分子による可視光吸収特性評価を実施する。 また、色素分子の可視光吸収特性データを反応速度論的に解析し、量子効率の検討を実施する。 さらに、水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)薄膜の積層型薄膜の上で、荷電アミノ酸と色素分子の分子間励起エネルギー移動が起きるか、様々な実験条件を探索していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)薄膜をECRプラズマスパッタリング法により連続積層作製を試みた多実験に当初予想の失敗が少なく、準備材料作製作業が大幅に削減できたことが次年度使用額が生じた理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)薄膜をECRプラズマスパッタリング法により連続積層作製条件の新規探索を増やし、色素探索も増やす計画で使用していく。
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