本研究では、プロペラ状の芳香族炭化水素分子を周期構造単位とした、ハニカム二次元炭素物質の合成とその機能性の探索を研究目的とした。まず、構造単位となるトリナフトプロペランのヘキサブロモ誘導体(1)の合成収率向上の検討を行ったところ、これまでの20%から40%まで収率を向上させることに成功した。続いて、1の重合反応を金属基板上で行ったところ、1が基板上に立ったような形で吸着されることがわかり、さらにそのまま重合反応が進行し、一次元鎖を与えることも明らかとなった。そのほか、1のπ拡張化にも成功し、プロペラのブレード間での電子の移動速度の決定や、水素原子の原子間力顕微鏡による直接観測も行った。
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