研究課題/領域番号 |
16K14065
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中畑 雅樹 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40755641)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | メカノクロミック材料 / カテコール / ソフトマテリアル / コーティング材料 / 損傷検知材料 |
研究実績の概要 |
本年度は、申請書に記載したロードマップに従った一年目の研究計画の中で、①「メカノクロミック現象の分子論的な機構解明」②「高分子への修飾方法の確立」③「材料中の応力の可視化」の三項目を達成した。①については、系のガス雰囲気や加える種々の添加剤の影響、紫外-可視吸収スペクトルの時間変化測定とその解析、電子スピン共鳴スペクトル等の結果から、本研究で研究対象とするカテコール類が特定の条件で示すメカノクロミック現象の原因および色の起源となっている化学種を特定することに成功した。それにより、本研究で当初計画していた幾つかの応用計画は実現が難しくなったが、その一方で新たな応用として幾つかの研究計画を立案し、実施している。②については、種々のカテコール誘導体を合成し、それを介して重合反応等により合成高分子、生体高分子等の高分子へカテコール骨格を導入することができた。高分子化することでメカノクロミック現象の寿命が長くなることも新たに明らかになった。③については、別の研究課題にて開発した強靭性・自己修復性材料にカテコール誘導体を混合し、これを適切な条件下に置くことで、材料に対して力学的刺激のかかった箇所のみ色が変わり可逆的に元に戻る系を開発することができた。また、次年度の目標としている「自己修復材料の修復過程の可視化」に向けて、新たな設計原理により早く効率的に修復する自己修復材料を構築し、論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要に記載のように、本年度の研究計画のうちコアになる部分は本年度の研究の中で達成することができた。次年度は応用検討が中心になると考えられるが、基礎的な部分は既に達成されているため、本年度に得られた知見を整理ししっかりと成果としてまとめ上げる予定である。全体として、おおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の検討より、カテコール類のクロミック現象は分子間反応ではなく一分子内での反応であることが示唆され、申請書に記載した幾つかの計画は変更を余儀なくされた。しかし、分子内反応であるという特徴を生かして新たな応用も期待できる。次年度は、クロミック現象の主役となる化学種を積極的に利用した新たな反応開発など、当初の計画には無かった新たな展開をプラスして研究を進めていく。 また申請者は今年度の後半から所属が変わり、新規バイオメディカル材料の開発に向けた研究を始めた。カテコール類は生体内にもありふれている分子骨格であるため、カテコールの特性を利用した新たなバイオメディカル方面への応用についても研究計画に盛り込み、方針を立て直していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請者は申請当時日本学術振興会特別研究員PDとして本年度を終える予定であったが、申請後に状況が変わり助教として採用され、研究機関を移動することになった。それに伴い特別研究員奨励費を優先的に使用したことに加え、助教採用に伴い別の研究費の獲得も決定したため、当初の執行予定よりも本研究費執行のタイミングが遅れ、次年度使用額を残すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
当初次年度に配分予定であった額と次年度への繰越額とを合わせると、ちょうど本年度に使用した研究費の額と同程度となるため、次年度を以って全ての配分額を執行する予定である。しかし当初購入予定であった設備備品の額には届かないため、次年度の研究計画の中で必要になる消耗品や、助教採用に伴い一緒に研究を行う学生の分も含めた成果発表のための経費として次年度予算を計画的に使用する予定である。
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