研究実績の概要 |
本年度は、申請書に記載したロードマップに記載した研究計画の中で、(1)分子集合状態の力学的な制御を介した機能システム についての基礎的な検討を行った。さらに、前年度に得られた知見に基づき、当初の研究計画には無かった新たな展開をプラスして研究を推進した。 具体的には、(1)カテコールのクロミック現象の原因となる化学種を利用した新たな反応開発の可能性を検証し、特定の条件下で高分子の重合反応に用いられる可能性を示した。(2)前年度に、カテコールをプローブとして含ませることでメカノクロミック現象の観察に成功した強靭性・自己修復材料(Macromol. Rapid Commun. 2016, 37, 86-92.)について、将来的に材料中での活性酸素種の発生・モニター・制御、それを利用した選択的細胞操作などに応用するための基礎的な検討として、材料上で細胞が培養可能であることを示し、論文(Sci. Rep. 2017, 7, 7660.)として発表した。 本年度の研究全体を通して、研究代表者が今後取り組む予定としている、カテコールをキーマテリアルとしたバイオメディカル材料開発に繋がる基礎を築くことができたと考えている。今後は、(1)未発表の成果の知財・論文化、(2)活性酸素種を有効利用した反応・材料開発のさらなる推進、(3)活性酸素種を有効利用した材料形成を通したバイオメディカル技術の開発を三本柱としてさらに研究を発展させていく予定である。
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