可逆的付加-開裂連鎖移動(RAFT)重合を用いて、ポリジメトキシスチレンをブロックとして持つジブロック共重合体、およびトリブロック共重合体の合成に成功し、臭化ホウ素による脱保護により、ポリビニルカテコール(PVCa)をブロックとして持ち、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を他のブロックとして持つトリブロック共重合体の合成に初めて成功した。さらに、本トリブロック共重合体は、電子顕微鏡による相分離構造の断面観察結果と小角X線散乱の測定結果から、PMMAマトリクス中でPSがシリンダー構造を形成し、PVCa相がシリンダーを覆うように形成されたコアシェル型シリンダー(CSC)相を形成すること、この相分離構造を鋳型として、銀ナノ粒子の配列が得られること、10の-4乗S/cm程度のプロトン伝導性を示すことが明らかとなった。銀ナノ粒子はナノサイズで筒状の配列構造を形成するため、プラズモニックメタマテリアルへの応用が期待される。 また、ジブロック共重合体をテンプレートに磁性ナノ粒子と銀ナノ粒子を段階的に導入・還元することにより配列させ、磁気光学効果の一種であるKerr回転角をプラズモンによって増強することに成功した。これは、磁性ナノ粒子である酸化鉄ナノ粒子と、還元によって得られた銀ナノ粒子が同じPVCa相に共存することによって初めて成された成果であり、銀ナノ粒子の局在プラズモン共鳴による電磁場の増強効果によるものと考えられる。 以上の結果から、バイオミメティックブロック共重合体を用いることで、新たなメタマテリアル作製手法が得られることを実証した。
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