研究課題/領域番号 |
16K14072
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
桑折 道済 千葉大学, 大学院工学研究科, 准教授 (80512376)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ホルミウム / 磁性 / リビング重合 / 高分子ブラシ / 表面改質 |
研究実績の概要 |
磁石に応答する材料は,記録媒体,各種センサーや医療診断材料などに広く利用されている。本研究では,磁石に応答する「ホルミウム複合高分子ブラシ」を既存材料表面に構築し,磁性を示さない材料への簡便かつ無色での磁性付与法の開発を目的とした。我々はこれまでに,カチオン性界面活性剤ホルミウムを静電相互作用により担持して作製した「ホルミウム複合界面活性剤」で被覆した微粒子が磁石に応答することを報告している。今年度は,カチオン性ポリマーであるPDMAEMAブラシをシリカ粒子表面から構築し,塩化ホルミウムを複合化することでホルミウム複合高分子ブラシを導入した。作製した粒子分散液にネオジム磁石を近づけると,応答時間に課題が残るものの,集磁可能であり磁性付与に成功した。また,乾燥粉体も同様に磁石に応答し,目視ではほとんど着色がなかったことから,無着色での磁性付与法の可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究実施計画である,基材表面でのホルミウム複合高分子ブラシの構築を構築し,磁石に応答することを確認できたことから,おおむね当初の計画通りに研究が推移していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
磁石に対してより高速に応答するブラシ組成,構築条件,ホルミウム複合条件を詳細に検討する。また,本プロセスの特徴である基材の色変化を伴わず磁性付与が可能である利点をいかし,様々な基材に対して本プロセスが適応可能であることを示す。また,作製した表面の組成確認や物性測定のため,様々な分野の研究者との連携を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
ホルミウム複合高分子ブラシの構築が予定よりも早く進行したため,年度の後半は作製後の高分子ブラシの磁石応答評価に注力した。このため,高分子ブラシ構築の詳細な条件検討に使用する薬品代や器具代を使用しなかったため,次年度使用額とした。
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次年度使用額の使用計画 |
磁石に応答する高分子ブラシの構築自身には成功したため,実用的に使用可能なより高速に応答する系の構築を目指して,薬品代や器具代の購入に使用する予定である。
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