前年度に得られた知見を基にして、平成29年度は高配向ナノファイバーシートを調製し、応力発光特性の評価を試みた。ポリマーサンプルは、初年度に合成したテトラアリールスクシノニトリル骨格を有するセグメント化ポリウレタンを用いた。テトラアリールスクシノニトリル骨格を有するセグメント化ポリウレタンに関しては、ハードセグメントとソフトセグメントの割合が異なるサンプルをいくつか準備してフィルムを作製し、応力発光挙動と力学物性評価を行い、ナノファイバー作製に最適なサンプルの探索を行った。テトラアリールスクシノニトリル骨格を有するセグメント化ポリウレタンの高配向ナノファイバーシートの調製は、コレクター部分を平板コレクターからドラムコレクターへ交換することにより行った。実際に、ドラムコレクターを用いることで、高い配向性を有するナノファイバーシートを調製できた。得られたナノファイバーシートに関して、平行方向の応力を印加することで、応力発光挙動を観測することができた。 ドラムコレクターを利用したナノファイバーシートの調製においては、ドラムコレクターの回転速度によりナノファイバーの直径を変えることができることが知られており、ファイバー直径の変化が応力発光特性に及ぼす影響についても、系統的に評価できる準備が整った。今後、詳細な評価が必要ではあるが、今回の挑戦的萌芽研究を通して、応力発光ナノファイバーに関する研究の基盤が構築できた。
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