研究課題/領域番号 |
16K14081
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宇山 浩 大阪大学, 工学研究科, 教授 (70203594)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | バクテリアセルロース / モノリス / ポリアクリロニトリル / 電気二重層キャパシタ / 複合材料 |
研究実績の概要 |
本研究は、ナノファイバーから構成されるバクテリアセルロース(BC)ハイドロゲルの水媒体が有機溶媒に置換できることに着目し、粘弾性相分離を利用した高分子多孔質体(モノリス)の作製技術と融合させることにより、ファイバーとモノリスからなる3D-3D多孔質複合材料の創製を目的とする。炭素材料の前駆体となるポリアクリロニトリル(PAN)に着目し、BCゲルとPANモノリスのユニークな特徴を融合した階層構造を有する炭素材料(BC-PAN AC)の作製とその電気二重層キャパシタ(EDLC)用電極への応用を検討した。また、BC-PAN ACの構造が電極材としての特性に与える影響を検証した。SEM像より、BC-PANはBCのネットワーク構造とPANの共連続多孔構造が絡み合った構造と、BC由来の積層構造からなる階層的な三次元構造を有していることがわかった。BC-PAN中においてPANはPAN単独での相分離時よりも微細化しており、BCゲルがPANの相分離に影響を及ぼすことが示唆された。EDLC特性をCVにより評価したところ、BC-PAN ACはPAN-ACと比べて、高走査速度時においてもボルタモグラムの形状が理想形である長方形型を維持しており、面積も大きいことから高速応答性に優れていた。また、定電流充放電試験より放電曲線の傾きから両極比容量を算出したところ、BC-PAN ACはPAN-ACと比べて大電流時における容量維持率が高いことがわかり、CVと同様の結果が得られた。SEM観察により、PAN-AC電極は従来の活性炭電極と同様に大きさや形の異なる粒子から成り立っており、粒界がはっきりと観察された。これに対してBC-PAN AC電極では、平板状の粒子がパズルのピースのように組み合わさって整列し、粒界が埋まっている様子が観察され、粒界抵抗が低減したことが示唆された。また、PAN以外に酢酸セルロースやポリメタクリル酸メチルのモノリスとBCとの多孔質複合材料の合成を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画通りにBCゲルとPANモノリスを用いて、3D-3D多孔質複合材料の合成と焼成・賦活により得られる特異な多孔質炭素の電気化学的特性評価を行った。特異な3D-3D多孔質複合材料に由来する機能を見出しており、所期の目的をほぼ達成した。また、二年目の計画の一部を前出しで実施した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に計画通りに研究を実施できたので、二年目は計画通りにBCゲル中でのモノリス形成ポリマー種の拡張を実施する。
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