研究実績の概要 |
工業的有用性が高いFAU, BEA, MFI, MOR, MWWゼオライト構造について,異なる結晶学的位置を持つイオン交換サイトと対カチオン等の組成(純SiO2型,アニオン型, H, Na, NH4,C3H9型)の組み合わせ全て708モデルについて,周期境界条件でHCTH関数を用い振動エネルギーを含む全エネルギーと最適化構造を求めた.先行して行った精度の低い計算に続いて,AlO距離が短いほどアンモニア脱離エネルギーが大きい相関が得られ,精度の向上によってより高い相関が得られたことから,SiOHAlユニットを両端から押す力によって酸強度が強められることが明確となった.AlOが短いときにはNH4やC3H9などのカチオンがより安定化されることが理由で,他方,脱プロトンエネルギーはSiOAl角度,すなわちねじれによって制御されていた. このように,酸性OHの化学的特性が単純では無いことをまず明らかにし,続いてカチオンの安定化,プロトンの反応性という2つの異なる特性と構造の相関を明らかにした. 他方,マクロ細孔中へのゼオライト微粒子の充填については,研究当初の予想とは異なり,細孔中でゼオライトを合成するためには物質輸送の制御がさらに必要であること,その手前の段階としてゼオライト前駆体微粒子をマクロポーラスアルミナのほぼ全ての細孔内に均一に充填する方法・条件は明らかとなった.
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