本研究では、軽量かつ安全で成形加工性に優れる高分子材料の特性を活かし、これまでに無い新しいMg電池用電解質を創製するため、CO2/エポキシド共重合体に特有の優れたLiイオン伝導挙動をMg電解質に利用し、10-4 S/cm以上のイオン伝導度かつ0.5以上のMgイオン輸率を達成し、最終的にはフレキシブルな全固体Mg金属二次電池を実現するための電気化学的な基礎知見を得ることを目的としている。本年度は、前年度の成果からイオン伝導度に優れるMg系SPEの組成を絞り込み、サイクリックボルタモグラム法による電位窓の測定やMgイオンの析出・溶解挙動の観察を行った。Mg/SPE/Mg対称セルなどのインピーダンス測定を行い、電極/電解質界面に関する様々な情報を得た。Liイオン伝導性に優れるポリカーボネート型電解質をMg電解質に利用し、固体状態でMgの析出溶解が可能な系を検討した。まずは、モデルとしてポリエチレンカーボネートを用い、MgTFSI2を溶解した電解質を種々作製した。80℃におけるMgの析出溶解挙動をCV測定により調査した結果、MgTFSI2を40 mol%含む固体電解質が4サイクル程度でわずかにMgの酸化還元に基づくと思われるピークを発現した。さらに、LiFSIをわずかに添加することで、これらのピークが増大し、より明瞭な酸化還元を示すことも分かった。グライムを添加してゲル状にした電解質を新たに作製し、Mgイオン伝導特性およびMg酸化還元挙動の観察を行った。
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