研究課題/領域番号 |
16K14111
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
尾崎 伸吾 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (20408727)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自己治癒材料 / セラミック複合材 / 構成モデル / 損傷 / 有限要素法 / 反応速度論 |
研究実績の概要 |
アルミナ/SiC粒子分散型セラミックス複合材を対象に,損傷のみならず自己治癒挙動を記述するための構成モデルを提案した.具体的には,セラミックスの自己治癒挙動はき裂発生をトリガーとし高温酸化反応により自律的に生じるため,これを適切に記述し得る状態変数の発展則を導入した.なお,酸化反応速度論に基づき発展則を規定している点は,他の研究には見られず,極めて高いオリジナリティーを有している.提案モデルにより,セラミックスの脆性破壊挙動のみならず,き裂の自己治癒挙動,さらにはそれらの競合関係を連続体力学の枠組みの中で合理的に記述できるようになった. また,提案モデルを有限要素法に実装することにより,損傷⇒自己治癒⇒損傷の一連の過程をシミュレートする解析手法を提案した.なお,自己治癒過程は様々な温度および酸素分圧レベルに対応できる.他方,変温環境下での解析にも適用できるように,ワグナーの重量増加モデルを参照して発展則を拡張し,将来的な熱衝撃問題への展開も視野に入れている. さらに,粒子分散型セラミックス複合材との実験結果(alumina/30vol% SiC)との比較も実施している.ビッカーズ圧子による損傷の導入,自己治癒過程および三点曲げによる強度回復評価の一連の過程を模擬した有限要素解析モデルを作成し,実験結果との定量的な評価を行うための準備を終えている. 以上の成果をまとめ,査読付き国際誌1報,解説記事1報,国際会議発表3件,国内会議発表5件の実績を得ている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
アルミナ/SiC粒子分散型セラミックス複合材を対象に,損傷のみならず自己治癒挙動を記述するための構成モデルを提案した.具体的には,セラミックスの自己治癒挙動はき裂発生をトリガーとし高温酸化反応により自律的に生じるため,これを適切に記述し得る状態変数の発展則を導入した.なお,酸化反応速度論に基づき発展則を規定している点は,他の研究には見られず,極めて高いオリジナリティーを有している.提案モデルにより,セラミックスの脆性破壊挙動のみならず,き裂の自己治癒挙動,さらにはそれらの競合関係を連続体力学の枠組みの中で合理的に記述できるようになった. また,提案モデルを有限要素法に実装することにより,損傷⇒自己治癒⇒損傷の一連の過程をシミュレートする解析手法を提案した.なお,自己治癒過程は様々な温度および酸素分圧レベルに対応できる.他方,変温環境下での解析にも適用できるように,ワグナーの重量増加モデルを参照して発展則を拡張し,将来的な熱衝撃問題への展開も視野に入れている. さらに,粒子分散型セラミックス複合材との実験結果との比較も実施している.ビッカーズ圧子による損傷の導入,自己治癒過程および三点曲げによる強度回復評価の一連の過程を模擬した有限要素解析モデルを作成し,実験結果との定量的な評価を行うための準備を終えている. 以上の成果をまとめ,査読付き国際誌1報,解説記事1報,国際会議発表3件,国内会議発表5件の実績を得ている.
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今後の研究の推進方策 |
損傷―自己治癒構成モデルを実装した有限要素解析に関しては,変温環境下での解析を実施し,実験結果との定量的な比較を行う予定である.また,材料については,これまでのalumina/30vol% SiCに加え,alumina/15vol% SiCおよびモノリシックなSiCなどへと対象を広げることにより,提案解析スキームの汎用性を確認する予定である.また,材料強度のばらつきを考慮する手法と組み合わせることにより,より高度な解析を実施する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験用供試材料の選定が遅れ,発注が間に合わなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に試験用セラミックスを購入する.
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