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2016 年度 実施状況報告書

CFRPにおけるミクロ疲労損傷の陽電子消滅法による非破壊検出手法の創製

研究課題

研究課題/領域番号 16K14114
研究機関岐阜大学

研究代表者

植松 美彦  岐阜大学, 工学部, 教授 (80273580)

研究分担者 柿内 利文  岐阜大学, 工学部, 准教授 (20452039)
大谷 章夫  京都工芸繊維大学, 総合教育センター, 准教授 (80569533)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード疲労損傷 / 熱可塑性樹脂 / CFRTP / 陽電子消滅法 / 非破壊検査
研究実績の概要

熱可塑性樹脂PA66をマトリックスとし,綾織り炭素繊維束を強化材としたCFRTPを供試材とした.同材を用いて軸荷重疲労試験を実施し,疲労損傷評価の基礎となる短冊形試験片のS-N線図を取得した.さらに,短冊形試験片に最小断面部が生じるような浅い切欠きを研磨ならびにウォータージェット加工によって導入し,切欠き材における疲労試験を実施した.その結果,応力集中係数が小さいため,切欠き材のS-N線図は短冊形試験片のものとほぼ一致することを確認した.CFRTPのS-N線図は,一般的な金属材料に比較すると傾きが非常に小さく,応力のわずかな変動によって疲労寿命の長短が大きく異なることを確認した.
S-N線図の傾きが非常に小さいため,ある応力レベルにおける破断寿命を定義することが非常に難しい.しかし,わずかな傾きを考慮し,破断繰返し数が10万回程度となる応力レベルを設定して疲労試験を実施し,荷重繰返しに伴う疲労損傷の蓄積を経時的に観察した.その結果,荷重軸直角方向に繊維配向した部分で,トランスバースクラックが発生し,荷重の繰返しとともに徐々に増加する現象を確認した.このように,比較的マクロな疲労損傷の荷重繰返しに伴う蓄積を確認したが,繊維―マトリックス界面におけるはく離など,ミクロ疲労損傷の確認には至らなかった.
S-N線図に基づいて疲労試験を実施するとともに,試験を適宜中断して陽電子寿命による疲労損傷測定を試みた.初年度は寿命法のみを実施したが,荷重の繰返しとともに陽電子寿命が短くなることを確認し,疲労損傷評価の可能性を示した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は,CFRTPの疲労損傷評価の基礎となるS-N線図を取得することができた.さらに疲労損傷部位を限定する切欠き材のS-N線図の取得も行った.疲労試験に伴う比較的マクロな疲労損傷の経時的な蓄積と,それに伴う陽電子寿命の変化を示し,陽電子消滅法による疲労損傷評価の可能性を確認することができた.

今後の研究の推進方策

疲労損傷のマクロな観察は行えたが,繊維―マトリックス界面におけるはく離のようなミクロ損傷の観察には至らなかった.当初の予定どおり,FE-SEMによってミクロな疲労損傷の同定を継続的に行う.さらに,陽電子消滅法の中でも,陽電子寿命の変化のみを初年度に確認した.そこで,ドップラー幅拡がり法についても検討する予定である.また,各パラメータの経時変化とミクロ損傷の経時変化の相関については,初年度で得ることができなかったため,FE-SEMによる観察結果と,各パラメータの経時変化を定量的に相関させる.

次年度使用額が生じた理由

初年度では,CFRTPにおけるミクロ損傷観察を行うに至らず,当初予定してたよりも少量のCFRTPの供給と試験片加工で済んだため.

次年度使用額の使用計画

H29年度では,全体の研究計画にあるミクロ損傷観察を行い,初年度よりも多いCFRTP作製と試験片加工を行うため,その費用に充てる.

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公開日: 2018-01-16  

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