平成30年度までの研究によって、ち密体の作製方法はほぼ確立し、置換型の超耐熱材料用新16H型シリサイドの候補となる試料において、硬度試験を行ったところ従来の16H型シリサイドより硬度が低く、焼き入れした共析鋼程度の硬度を示す試料を作製できた。しかし、XRDやEDSによる解析では単一相ではない可能性があり、試料表面もやや粗い状態で、硬度もランダムに測定したため、より詳細な研究が必要であるとして補助事業期間の延長を申請し受理された。 硬度が低下する原因として、組成の不均一や焼結状態の影響などを指摘する研究者もいる。本研究の結果の正当性を確認するため、ち密な単一相を得ることと、超耐熱材料として使用可能かを判断するため、超高温での焼結を行った。 令和元年度は1950℃での焼結を試み、得られた試料をXRDによって解析したところ非常にシャープなピーク形状が観察され、結晶性が向上したと期待し、解析したところ、結晶系は六方晶で、ほぼ単一相となっていることが確認できた。格子定数を算出し、既存の16H型シリサイドとの比較を行ったところ、1500℃では未焼結の部分も確認されたが、ほぼち密な焼結体が得られ、硬度は既存の16H型シリサイドよりも低いことが確認され、亀裂もほぼ確認できなかった。 本研究は、二元系16H型シリサイドを基に三元系・四元系の新16H型シリサイドを設計・試作し、新たな高融点・低比重の16H型シリサイドの開発を目指し、置換メカニズムの解明と、破壊じん性値の評価を行うことを目的とした。現時点で置換メカニズムの解明には至っていないが、新たな高融点16H型シリサイドの開発は達成できた。現時点で論文等作成中のため詳しい組成は避けるが、置換により従来の16H型シリサイドより硬度が低く、焼き入れした共析鋼程度の硬度を示す超耐熱材料用新16H型シリサイドを作製し、研究の目的はほぼ達成できた。
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