研究課題/領域番号 |
16K14125
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
東口 武史 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80336289)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ベクトルビーム / 偏光解析 / 中赤外レーザー / 近赤外レーザー |
研究実績の概要 |
本研究では,中赤外レーザーの波長依存のない高出力・高エネルギーベクトルビームを簡便な方法で生成する。このビームをレンズで集光することで,縦電場を発生させ,焦点深度が深い低エネルギー閾値材料加工を実現することに挑戦し,省エネ化に貢献することを目的としている。 平成29年度は,ベクトルビームを集光することによる縦電場の発生と切断加工実験を目指し,研究を展開した。ただ,この研究を進めるために,中赤外領域アクロマティック軸対称波長板から出射されるベクトルビームの偏光状態を解析する必要がある。しかしながら,偏光解析を進めるために,幾つかの未知数を決定する必要に迫られた。そこで,アクロマティック同軸波長板を用いて,偏光解析をするとともに,数値解析により偏光状態を予測することにした。このことによりレンズで集光されたときのベクトルビームの変化を数値計算することができる。平成29年度は,偏光解析技術も並行して進めた。 実験では,炭酸ガスレーザーのベクトルビームを解析し,光渦であることを確認した。また,渦成分を抑制する方法について,理論的に検討し,実際に製作できるかどうかも検討した。 これらに加えて,炭酸ガスレーザーによる方法の他,波長を短くし,近赤外光でも加工実験ができるように,高繰り返し高平均出力の小型のアクティブミラーレーザーを開発し,平均出力が8 Wであることを確認した。このことにより,中赤外レーザーと近赤外レーザーの加工実験の比較ができるようになると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要でも述べたように,中赤外レーザーの波長依存のない高出力・高エネルギーベクトルビームを簡便な方法で生成する。このビームをレンズで集光することで,縦電場を発生させ,焦点深度が深い低エネルギー閾値材料加工を実現することに挑戦し,省エネ化に貢献することを目的としている。このため,中赤外レーザーのベクトルビーム発生と偏光解析技術を確立するとともに,申請書にはなかった近赤外レーザーの開発の進展があったことから,加工特性の波長依存性も観測することができるようになったことから,大まかにみると,この区分でよいのではないかと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り,ベクトルビームを集光し,集光点で縦電場を発生させる。ベクトルビームを入射すると,光電場の合成ベクトルは従来の偏光とは異なるビームになることから,従来のレーザー切断加工とも異なる新奇の切断面をもち,低エネルギー加工,超深度加工などに適用できると期待される。切断面の観察には,電子顕微鏡やレーザー顕微鏡(いずれも大学内の機器分析センター所有)を用いることにしている。
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