研究実績の概要 |
高分子材料は、ナノファイバー、フィルムと形状ごとに、材料を構成する分子の配向性が異なることが知られている。これまでに申請者は、エレクトロスピニング(電解紡糸)法によりナノファイバーを形成した際、その分子ドメインが長軸方向に沿って配列していることを明らかにした。 本申請課題では、ナノファイバー表面で長軸方向に分子ドメインが配列する機序解明、および、分子ドメインを制御した高機能ナノファイバーの創製手法の確立を目的とする。長軸配列した分子ドメインへカーボンナノチューブ(CNT)を修飾することで、CNTを表面に一軸配列させた導電性ナノワイヤを創製し、形状変化に伴い導電特性を制御可能な導電性ナノワイヤの創出を目指す。平成28年度は、ナノファイバー作製時に現れる分子配列現象の解明を行った。様々な条件でナノファイバーを作製し構造解析した結果、ナノファイバー作製時の牽引力により分子配向が高まることを確認した。さらに、牽引され分子配向が高まったナノファイバーへの分子吸着を評価したところ、疎水性相互作用が高まることによってナノファイバー表面への分子吸着が高まることを見出し、すでに論文投稿し、受理された。(Evaluation of protein adsorption onto a polyurethane nanofiber surface having different segment distributions, Yuko Morita, Gaku Koizumi, Hiroaki Sakamoto and Shin-ichiro Suye, Mater.l Chem. Phys., 187, 1-4 (2017))
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