自動車など摩擦を伴う機械装置には省エネルギーや低環境不可が求められている.そのためには高性能な潤滑グリースの開発が求められる.高温,高速回転という過酷な条件下で,摩擦により分解した潤滑油から生成する水素が摩擦材である鋼材へ侵入することで機械的強度が低下する(水素脆化).そのため,本研究では水素脆化を抑制するための新規潤滑グリース開発を目的とした.新規潤滑グリースの材料には環境負荷に配慮し,レシチンで修飾した粘土,つまり天然物を増ちょう剤とした.その結果,レシチンの形成する被膜に板状の粘土が分散した状態の水素バリア層が鋼材表面に形成され,水素脆化抑制の可能性を示唆する結果を得ることができた.
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