研究課題/領域番号 |
16K14140
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
田中 英一郎 早稲田大学, 理工学術院(情報生産システム研究科・センター), 教授 (10369952)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 人間動作補助 / 歯車 / ウォーム / ヘリカルギヤ / 伝達効率 |
研究実績の概要 |
着衣内に装着可能な超小型の人間動作補助機を開発するため,その駆動部を開発する.着衣内に装着するには,身体に密着した構造の駆動部を設計する必要があり,円筒形のモータの回転軸方向を90度変更し,最も小型かつ大減速可能なウォームギヤの活用が望ましい.しかし一般的なウォームギヤは伝達効率が50%以下,逆入力ができない(セルフロック)という特徴がある.できるだけ小型軽量にするには効率を上げて可能な限り小さいモータを使用できること,装着者の突発的動作時の対策として装着者の動作を妨げないことなどが重要であることから,ウォームとヘリカルギヤ(はすば歯車)をかみ合わせること,逆入力可能にするために進み角を摩擦角よりも大きくする3条ウォームとすることを提案する.ウォームとヘリカルギヤのかみ合いは従来から行われる手段の一つであるが,かみ合いが理論上点接触となり,高効率化を図れる半面,面圧が著しく増加することから軽負荷時のみ使用することが一般的である.そこで,高面圧に耐えられるヘリカルギヤの材質を検討する.また,グリース潤滑が一般的だがグリースの選定も高効率化には重要なファクターであることからグリースの違いによる影響も検討する. 今年度は,これらの実験による確認を実施するための実験装置整備を行い,ウォーム+ヘリカルギヤ用の負荷繰り返し実験時に入出力トルクおよび入出力回転軸角度を計測できること,人間に装着したときの動作を模擬した角度変化をプログラム化可能とした.また,高寿命な材料を選定するため,各種試験材料を準備した.さらに,ウォーム+ヘリカルギヤをかみ合わせたギヤボックスを製作し,歩行補助機に取り付け,実際に歩行して使用できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在歯車を評価する試験装置のシステムを製作しているが,歯車試験の経験豊富な各研究機関の方々からご指導を頂きアドバイスを頂いたところ,歯車自体の寿命を試験するためには軸受や歯車箱は,十分な剛性を有したものでなければならないこと,入力の原動機がある程度の出力を持たないと大負荷時のブレーキに負けてしまい,本来確認したい動作が十分行えない可能性があることなどのご指摘を頂いた.以上の面を踏まえて実験装置の見直しを図り,かつ実験ができる条件を早急に整える必要があるため.
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今後の研究の推進方策 |
まず,早急に実験装置を完成させ,すでに準備したヘリカルギヤの違い,グリースの違いによるバックラッシ拡大進行状況,歯車歯面の寿命への影響を,人体に装着し使用したときの運動を想定した繰り返し試験にて調査する. 次に,実験装置だけでなく,実際に装着して歯車特性の寿命を確認する. さらに,本駆動部を目的に応じて適切に使用するため,モータに対し様々な制御手法を用いて効果を確認する.
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費を計上していたが,使用しなかったこと,旅費の誤差などによるもの
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次年度使用額の使用計画 |
歯車評価試験装置用のねじ,金属板などの機械部品購入時に使用.
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