研究課題/領域番号 |
16K14142
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
進士 忠彦 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (60272720)
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研究分担者 |
土方 亘 東京工業大学, 工学院, 准教授 (30618947)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 骨格筋 / 回転型発電機 / 直線型発電機 / 電気刺激 / 体内植え込み |
研究実績の概要 |
本研究では,大胸筋などの骨格筋の一部をアクチュエータとしてもちい,電気刺激により発生する筋収縮運動を電力変換するシステムの実現を目指す. 具体的には,身体の機能に影響を与えない数グラム程度の骨格筋を電気刺激で収縮し,その運動を用いたmWクラスの発電を数値目標とする. 筋肉の収縮運動を電力変換する方法としては,通常の発電機と同様,筋肉の収縮運動(直線運動)を回転運動に変換し,ロータに取り付けた磁石列を回転することで電磁誘導を発生する方法(回転型)と,筋肉の収縮運動(直線運動)から直接永久磁石を駆動し,電磁誘導により発電する方法(直進型)が考えられる.本研究では,回転型と直線型2つのアイディアを軸に研究を進める.また,マイクロ発電機の提案・試作と並行し,カエルの筋肉を用いた電気刺激実験を行い,筋肉の基礎特性データを取得し,発電機の設計・試作に活用する. 本年度は,筋肉の電気刺激方法を検討するため,カエルの筋肉を用いた実験を行い,等尺性収縮,等張性収縮の条件での実験データをそれぞれ得た.代表的な例として,電気刺激を,パルス幅0.2 ms連続矩形波電圧,繰返し周波数40 Hz,継続時間0.5 s,振幅1.7 Vとした.実験で用いた約0.2gの筋肉に対して,等尺性収縮における張力測定では刺激開始550 ms後に最大値1.1 Nを記録し,等張性収縮における収縮距離測定では0.37 Nの張力下で3.2 mm収縮し,収縮速度は6.0 mm/sとなった. また,回転型発電機を試作して,発電機構の直動・回転エネルギ伝達効率32.0%と,負荷抵抗140 Ωで最大発電効率19.4%を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H28年度に予定していたカエルの筋肉特性の動的な評価を実施することができた.また,回転型発電機の試作ならびに効率などの評価も実施し,予定通りの進捗を得た.
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今後の研究の推進方策 |
回転型発電機は,損失を少なく回転子を増速できれば,効率の良い発電が期待できるが,その一方,機構が複雑となる,筋肉に切断面を設ける必要があるなどの欠点があった.このため,筋肉の直線的な収縮運動から,直接発電する方法をH29年度は集中して検討する予定である.また,筋肉に損傷を与えることなく,運動を無理なく,直動発電機に伝える方法の検討も行う予定である.
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