本研究では、竜巻状旋回流を利用する遠隔吸引装置を開発した。 本実験装置は、集塵装置、遠心分離機、バルブ、超音波流量計、公転用モータ、駆動部,および回転ノズルから成る。これは、既存の実験装置を改良したものである。新たに開発された遠隔吸引装置は、吸引ノズルを公転軸まわりに回転させる事で竜巻状旋回流を発生させる事に特徴がある。また、竜巻状旋回流の流れ場の可視化観察のため、ドライアイスミスト発生機構を設計・製作した。まず、竜巻状旋回流の生成はドライアイスミストの可視化実験で確認され、流量に対する自転角速度、公転角速度、および公転半径の依存性が確認された。その結果、竜巻状旋回流の生成には自転よりも公転が重要な事が明らかになった。次に、本実験装置により生成された竜巻状旋回流の速度分布がPIVにより計測された。鉛直断面の計測から、回転ノズルを公転させた場合に、回転ノズルから下方遠方まで比較的強い上昇流が形成され、竜巻状旋回流が安定に形成される事が確認された。さらに、固形粒子の遠隔吸引実験を行った。回転ノズルから十分下方の床面に比重2.5のガラスビーズを撒いて吸引実験を実施したところ、ガラスビーズの局所的な吸引が確認された。 以上の成果により、本研究で提案する遠隔吸引装置を、まず2016年6月22日に国内特許(名称:吸引装置、特願2016-123282)として出願した。さらに、2017年6月21日に国際特許(名称:吸引装置および駆動装置、PCT/JP2017/022850)として出願した。
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