研究課題/領域番号 |
16K14165
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
鈴木 正也 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 研究開発員 (40548161)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 混相流 / エロージョン / 着氷 / 流体機械 / 航空宇宙工学 / 数値シミュレーション / 数値流体力学 |
研究実績の概要 |
H28年度は,全研究計画の下準備として,「解析プログラムの開発」を行うともに,「想定エンジンの不具合発生前の性能計算」として以降の解析の初期条件となる設計点性能を取得した. 不具合要素に用いるマルチフィジックス解析には,申請者らのこれまでの成果を活用した.申請者らはこれまで,着氷・エロージョン・粒子付着などのマルチフィジックス現象を対象とした数値解析手法を開発し,ジェットエンジンの様々な要素について調査を行ってきた.申請者らの手法では,付着物や損傷による壁面形状変化の時間スケールが連続相・分散相の時間スケールに対して著しく大きいことから,弱連成問題として取り扱った.また,粒子の衝突位置・衝突速度・衝突温度を得るために,オイラー・ラグランジュ法を使った. エンジン全体のサイクル解析には,所属機関で開発されているVirtual Jet Engine (VJE)と呼ばれる解析プログラムを用いた.VJEではエンジン要素毎の特性を計算し,それぞれの要素を結合することによりエンジン全体の特性を解析する. マルチフィジックス解析とサイクル解析の統合部分の解析について検討を行ったものの,コーディングが完了していないため,H29年度に継続して行う. 本研究では今後日本が注力していくと思われる2万ポンド級超高バイパス比エンジンを対象とする(「文部科学省・次世代航空科学技術タスクフォース」研究開発ビジョンより).ここでは,高バイパス比化により顕在化すると考えられる不具合として,ファンの着氷,タービンのエロージョンが発生することを想定して計算を行った.ただし,ファンの計算に遅れが出ているため,H29年度に対応する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
人事上の理由から,研究に着手するのが遅れてしまったため,当初の予定より遅れが生じている.解析プログラムの開発は完了していないが必要な要素の洗い出しは行い,H29年度には一通りの開発が完了できる見込みである.エンジン性能計算については,タービンについては実施済みで,ファンについても目途がついており,遅れは致命的なものではない.また,想定していた学会発表等の申込みが物理的にできなかったため,成果発表に関しては翌年度に行うものとしたい.
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今後の研究の推進方策 |
遅れの生じた試験の実施や学会発表については既に準備を行っており,H29年度は十分に遅れを取り戻せるものと考えている.計算の実施を加速するため,計算機を調達して対応するつもりである.
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次年度使用額が生じた理由 |
解析プログラムの開発と学会発表申込みの遅れのため,計算機の調達と学会発表費用を次年度に持ち越したためである.
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次年度使用額の使用計画 |
早期に計算機の調達と学会発表の申込みを行い,遅れを取り戻す.既に準備は進めているため,大きな遅れにはならない見込みである.使用用途は基本的に変更はないため,大きな計画変更はない予定であるが,想定した人件費の代わりに調査と成果発表のための旅費を大目に使用する可能性がある.
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