研究課題
本研究の目的はジェットエンジンにおいて問題となる,液滴や固体粒子を含む混相流に起因するエロージョンや着氷などの現象が問題について,エンジン要素レベルで発生する問題がエンジンシステム全体に与える影響を調査するための数値解析手法を開発することであった.平成28年度から平成29年度は主に解析プログラムの開発を中心に計画を実施した.平成30年度は得られた解析プログラムを用いた解析の実施フェーズとして研究を行った.また,本研究のスコープ外ではあるが,ここで得られた解析プログラムを防氷技術のフィージビリティー調査やエロージョン抑制技術のフィージビリティー調査にも適用することで,一定の有用性を確認することができた.当初はファンと低圧タービンを想定した計算を行うこととしていたが,当初想定よりも開発した解析プログラムの計算負荷が高いことが研究実施によって明らかになったため,タービン部については計算規模を抑えるため,高圧タービンの初段静翼のみを研究の対象とすることにした.このため,低圧タービンの解析については行わなかった.しかしながら,解析プログラムの開発という目的については達成できたものと考えている.本研究は萌芽的研究という位置づけであり,計算負荷の低減といった課題を抽出することができたことから,今後の研究では課題解決を図っていきたい.また,本研究で対象としたマルチフィジックス現象がエンジンシステム全体に与える影響を実験的に評価するのは著しく高いコストがかかり,また安全性の観点からもリスクが高い.このため,実験との比較を行うことはできていない.これは計画段階から明らかであったが,このような試験を行うためにはリスク低減を事前に行うため,解析による見積が不可欠であることから,そのための準備を行うことができた.
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