本研究課題は,水の吸収帯中の複数波長を用いて異なる深さに存在する粒子の反射画像を取得し,マイクロ流路内の3次元粒子分布および速度分布を求めることが目的である。この実現のため,当該年度はマルチ波長イメージングシステムの確立と、粒子画像の取得と分析に取り組んだ.イメージングシステムには,前年度は高速フィルタホイールを使用し,原理の検証を行ったが,当該年度は,波長およびその数を測定対象によって自由に変更できるようにするため,スーパーコンティニューム光源とAOTF (Acousto-Optic Tunable Filter)を組み合わせた照射システムを用いた.このシステムにより,多波長の画像を高速で交互に取得し,光浸透深さごとの違いを捉えることに成功した.ここでは,深さ方向の分解能を調整できるように,波長1450 nmと1900 nm付近に存在する2つの水の吸収帯の中から吸収係数の異なる複数波長を選択した.すなわち,深さ2~5 mmの流路には前者の吸収帯を,深さ0.1~2 mmの流路には後者を用いた.しかし,液体中の粒子画像については,反射光強度の粒子間のばらつきや流路表面反射光が大きくなるという問題があり,特に深部の粒子の判別が困難であった.そこで,当該年度の後半では,入射光角度,試料セル,顕微鏡構成などを調整し,粒子画像の改善に取り組み,本計測手法の可能性を示すことができた.これらの研究成果については国内の学術会議にて発表した.
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