研究課題/領域番号 |
16K14176
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
上野 一郎 東京理科大学, 理工学部機械工学科, 教授 (40318209)
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研究分担者 |
塚原 隆裕 東京理科大学, 理工学部機械工学科, 講師 (60516186)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自由界面 / 粒子 / 濡れ |
研究実績の概要 |
温度差マランゴニ効果によって発現する閉鎖系内粒子挙動に関して,今年度はハーフゾーン液柱を対象とした実験系を用いて,3次元粒子追跡速度計測法を導入し,特にこれまで観察が困難とされていた自由表面近傍での粒子追跡実現を目指した.また,粒子集合現象(通称PAS)を対象として,存在が知られていた2種類のPAS(SL-1 PASおよびSL-2 PAS)とHydrothermal wave不安定性に起因する温度波の空間的相関を放射温度計と高速度粒子追跡を同期することで明らかにした.自由液膜系においても,熱対流場が時間依存性を持つ「振動流」の発生条件を明らかにし,また,厚さが0.2mm 程度の自由液膜内断面観察を実現する実験系を構築している.レーザ変位計と放射温度計,自由液膜内断面観察の同時計測を目指してさらなる改良を進めている.さらに,粒子挙動と自由表面の動的・静的変形の高精度同期計測系の構築を行った.数値解析においては,流体-粒子間一方向相互作用を考慮した数値計算コードの開発を進めるとともに,界面張力支配の流動現象について,VoF(Volume of Fluid)法とCSF(Continuum Surface Force)法を用いて,数値的に再現することに成功し,熱的界面張力差対流によるマイクロ液滴駆動のメカニズムについて調査を行った.以上の知見を研究協力者と共有し,来年度に向けた研究活動の方向性を議論した.研究成果の一部は国内外学会あるいは学術誌にて発表あるいは投稿中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験系については,自由表面近傍での粒子追跡を実現する装置の構築がほぼ完了し,予備的実験・解析により従来にない高解像度で追跡が実現していることを確認することが出来ている.この成果は2017年度秋に国際会議での発表を計画している.また,これまでに研究協力者によって示された理論モデルによるハーフゾーン液柱内粒子挙動および粒子分布を,実験的に検証する光学系を構築した.対象とする系が比較的小さく,かつ時空間的に変形する自由表面を有することから,精度向上を目指していく予定である.研究成果の一部は研究協力者と連名で論文を2編投稿済み,査読過程にある.数値計算については,自由界面-粒子間相互作用に関する高精度モデル化を進めている段階であり,研究協力者とともに設定しているパラメータ空間内の調査を2017年度に実施したいと考えている.また,これまでの研究成果の一部を国内学会で発表している.
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今後の研究の推進方策 |
実験系については,研究協力者とともに設定したパラメータ空間でデータを取得し,解析を進める.特に自由表面-粒子間相互作用に関する高精度計測を実現する実験系を再構築し,数値解析,理論解析に寄与するデータを提供する.数値解析については引き続きコード開発を進め,自由表面-粒子間相互作用時の対流場解析を目指す.
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