研究課題/領域番号 |
16K14189
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小野 崇人 東北大学, 工学研究科, 教授 (90282095)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 光音響 / 振動子 / 生体物質 |
研究実績の概要 |
肥満者の増加に伴う糖尿病患者の増加は、世界的に医療費の増大を招き、大きな問題となっており、予防という観点からもその簡易測定は極めて大きな需要がある。血液採取によらない糖尿病の非侵襲計測は、超音波、電気(インピーダンス)、光吸収などを利用した多くの研究がなされているにも関わらず、現在に至るまで、決定的な技術が実現していない極めて挑戦的な課題である。 これに対して、光音響検出を利用したグルコース検出手法が知られている。本研究では、高感度な光音響センサを開発し、半導体LDでも光音響信号が計測できるようにすることで、家庭でも使える小型の生体物質検出システムを開発する。特にターゲットをグルコースとして、実証試験を行う。高感度検出のために、機械共振と音響共振の両方のセンサを開発し、システムの最適を図る。 シリコンからなる片持ち梁型のセンサとドーナッツ型で共振モードをもつ圧電体からなるセンサの2種を試作評価した。2つのレーザーダイオードのレーザー光を利用し、その光音響の信号比から体内物質を検出するシステムのプロトタイプを試作した。センサは、検出対象と接するガラスに固定した。検出対象物にパルスレーザーを照射した際に発生する光音響波は、ガラスを通してセンサに伝達されるシステム構成とした。人の指や天然ゴム、PDMSなど各種材料で光音響信号が得られ、物資によりその信号強度が異なることを確認した。開発システムの動作確認のため、グルコースを混ぜたシリコーンゴムなどの試験片で検証実験を行い、グルコースの濃度に依存して光音響信号が増加するのを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
肥満者の増加に伴う糖尿病患者の増加は、世界的に医療費の増大を招き、大きな問題となっており、予防という観点からもその簡易測定は極めて大きな需要がある。血液採取によらない糖尿病の非侵襲計測は、超音波、電気(インピーダンス)、光吸収などを利用した多くの研究がなされているにも関わらず、現在に至るまで、決定的な技術が実現していない極めて挑戦的な課題である。 これに対して、光音響検出を利用したグルコース検出手法が知られている。本研究では、高感度な光音響センサを開発し、半導体LDでも光音響信号が計測できるようにすることで、家庭でも使える小型のグルコース検出システムを実証する。高感度検出のために、センサにおいて機械共振と音響共振の両方を使うことを特徴としている。 シリコンからなる片持ち梁型のセンサとドーナッツ型で共振モードをもつ圧電体からなるセンサの2種を試作評価した。2つのレーザーダイオードのレーザー光を利用し、その信号比から体内物質を検出するシステムのプロトタイプを試作した。グルコースを混ぜたシリコーンゴムなどの試験片で検証実験を行い、グルコースの濃度に依存して光音響信号が増加するのを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に開発したセンサについて、その評価結果を基にセンサの最適化設計を進める。 また、前年度の結果から計測おける問題点を明らかにして、個々の要素を再設計、再試作し、最終的なプロトタイプを試作する。初期試験では、人間の指に模したファントムとしてグルコースを溶かした寒天を用いて試作する。更に、動物の皮膚などを用いた検証実験を進める。 人の血液を採取して計測した測定値と比較し、信頼性、再現性、分解能など総合的な特性を評価する。光音響により伝播する音波は、雰囲気の圧力や温度に依存することが考えられることから、信号強度の圧力・温度依存性などの評価も必要になる。また、レーザー光の散乱は皮膚表面の性状に影響されることから、信号の表面性状依存性も重要な検査項目となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2-3月に利用する機械等の利用料の請求が次年度になるため、繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越し分は、前年度の施設等の利用料として利用する。
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