マイクロ流体チップ上で,細胞の機械的特性をその場計測するシステムを構築し,評価実験を行った.実績を以下にまとめる. (1) 細胞の操作:マイクロ構造体を有するマイクロ流体チップを加振し,局所流れを制御する方式を解析し,操作方法の有効性を確認した.振動誘起流れの解析として,チップ内にマイクロ構造体を配置した.圧電素子にてチップ全体に回転振動を与えた.細胞の周りの振動,流体場の解析を行い,細胞を操作するための設計論を構築した.また,実際にマイクロ構造体を有するチップおよび加振システムを構築し,顕微鏡画像から細胞の位置・姿勢を計測し評価した. (2) 水晶振動式MEMS プローブ:高感度,高剛性な水晶振動式MEMS プローブを設計,試作し,評価した.水晶振動式MEMS プローブの解析,設計に基づき,加工を行った.水晶基板をドライエッチングプロセスによって加工し,常温ボンディングによって接合した.また,プローブの温度補償を行った.プローブ先端は平滑化し,倒立顕微鏡で明視野観察できるように透明にした.水晶振動式MEMS プローブの力計測キャリブレーションを行い,細胞の力を計測して評価した. (3) 細胞の弾性特性の計測:プローブ先端で位置・姿勢制御した細胞を変形し,粘弾性を計測した.細胞の変形と力計測情報から,機械的特性指標を導出した.細胞の位置・姿勢を調整して,力計測するシステムを構築した.水晶振動式MEMS プローブを用いて細胞を変形し,力センサの値と接触変化から機械的特性を評価した. (4) 細胞の活性評価:細胞の機械的特性指標から,細胞の硬さをその場計測した.細胞内部の特性の違いから細胞の活性を評価する実験を行った.この結果,力情報により細胞の状態を推定できる可能性を示した.
|