研究課題
本研究では,脳卒中のリハビリテーションを「身体協調に基づく中枢神経系の機能回復」と捉え,患者の身体協調の再獲得と保持を促進するロボット訓練法の開発を行う。新運動理論の下,「筋シナジー抽出/予測/支援技術」より診断される身体協調に基づくインピーダンスと平衡点の調整訓練が運動の再学習を促進し,運動改善に効果的であることを臨床試験より検証する。具体的には、以下の3つの小課題を克服することにより、課題の達成を目指す。(1)診断 ― 異常な筋シナジーの定量評価(2)治療 ― 正常な筋シナジーの再獲得を促進する運動介入プロトコルの開発(3)効果 ― 臨床試験による運動介入効果のエビデンスの獲得初年度は、上肢運動を対象に、被験者の身体協調を解析するとともに、身体の平衡点及び剛性の同定を行った。特に「臨床応用へ向けたシナジー診断技術」を意識し、最大随意収縮時の筋電位を測定することなしに高い精度で筋シナジーと平衡点の推定を可能にする新しい診断法を開発した。本手法は、脳卒中患者の異常な筋シナジーの定量評価に用いることができる。また、上記診断より明らかとなる身体協調の差異に基づき、適切な身体協調が実現されるように身体の平衡点と剛性の調整訓練を行うロボット訓練システムを現在開発している。一連の成果と関連技術は、学術論文1件、学会発表14件(国外6件(内4件受理決定)、国内8件)、特許出願5件(国外3件、国内2件)にまとめられた。また、国内外の学会発表で2件受賞した。
2: おおむね順調に進展している
現在のところ、研究遂行する上で大きな問題を生じていないため。
本年度に得られた成果に基づき、来年度も計画通り研究を進めていく予定である。
本年度は、研究小課題「診断」に係る技術開発に注力し、(経費のかかる)「治療」については、次年度以降の課題としたため。
主に、研究小課題「治療」に係るロボットシステム開発費に使用する。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 6件) 備考 (1件) 産業財産権 (5件) (うち外国 3件)
日本機械学会論文集
巻: 82(843) ページ: 16-00236
10.1299/transjsme.16-00236
http://robotics.me.es.osaka-u.ac.jp