研究課題/領域番号 |
16K14200
|
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
川原 知洋 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 准教授 (20575162)
|
研究分担者 |
大塚 弘文 熊本高等専門学校, 制御情報システム工学科, 教授 (10223869)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 生体シミュレータ / ニワトリ胚 / マイクロ加工 |
研究実績の概要 |
本研究では,高い現実感と訓練効果が得られる微細手術シミュレータの実現を目指し,ニワトリ胚を透明人工殻内で長期培養しながら,胚に加わった力を外部から計測する方法を確立することを目的とする.本年度は以下のような研究を行なった.
ツール位置決めシステムと観察システムの開発:局所的に加温するマイクロツールを作製するには,先端部分だけ電極を極端に細くして(抵抗値を大きくして)温度を上げる必要があるため,微細加工により,先端部分のみが細くなっているヒーターの設計と試作を行なった.また,電動ステージ(ロボット)をコンピュータにより制御し,ツール(マイクロヒーターなど)を取り付けて数μmの位置決め精度で操作を行なうことができるシステムを作製した.さらに,インキュベータ内で培養している透明人工殻に操作を加えながらその様子を長期間に渡って観察するシステムを開発し,2週間程度のタイムラプス撮影を可能にした.
ニワトリ胚への影響の評価:透明人工殻に移植したニワトリ胚の白身を硬化させるなど外部から熱刺激や力学刺激を加えた場合に,胚の発生にどのような影響が出るかを調べた.なお,ニワトリ胚は発生後3日以内に人工殻に移植して培養を行なった(成長しすぎると移植時に血管が切れてしまう).この際,撮影した映像を用いて生存率や心拍数の評価を行うとともに,圧力センサを透明人工殻内に配置して内部の状態を詳細に計測した.また,形態に関しては,胚を取り出した後パラホルムアルデヒドで固定化し切片を作製し,染色して評価を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
透明人工殻中のニワトリ胚を操作・観察するための要素技術開発を達成できており,研究は順調に進んでいる.
|
今後の研究の推進方策 |
マーカ作成方法の検討:作製した位置決めシステムとマイクロツールを用いて,実際に培養を行なっているニワトリ胚の周囲にマーカを作成することを試みる.透明人工殻の側面から穴を開けてアクセスし,白身を凝固させて球形の構造体を配置する方法について検討し,その限界性能について明らかにする.
力センシングの検討と応用:力センシングの基本原理を検討するために,透明人工殻の側面からカメラによって撮影し,ニワトリ胚に力学操作を加えた場合のマーカの位置変化を計測することで,力ベクトルの推定を行なう.また,微細手術シミュレータとして応用可能性についても探索する.
|