研究課題
近年,高分子を用いたソフトアクチュエータが軽量,騒音が無い,小型化可能等の観点から期待されている.例えば,誘電エラストマーアクチュエータ(DEA)は静電型アクチュエータの一種であり,予歪を与えると大変形することが報告されて以来,多くの研究が推進されている.特に発生圧力が筋肉と同等かそれ以上と言われており,大変期待を集めるアクチュエータである.DEAは誘電ゴムを柔軟電極でサンドイッチした構造であり,電極に電圧を印加するとゴムの体積が非圧縮性のため厚さ方向にゴムが圧縮され,平面方向に伸張する特徴を持つ.一般にゴム弾性体の応力-歪特性は非線形かつ弾性域が大きい性質を有する.特に歪が小さい領域より少し歪がかかった状態のゴムの弾性率の方が小さいので,予歪をゴムに加えて電圧を印加すると大変形させることができる.つまり,アクチュエータ化には予歪を維持するためのフレームが必要となる.変形方向も平面方向となり,実際の筋肉は収縮型であることを考慮すると異なる点が多く存在する.このような背景の下,エラストマーを多孔質化しその材料特性を制御することができればDEAが有する問題は一挙に解決できると考えた.まずは多孔質エラストマーの作製方法の確立と力学特性について正確に把握し,アクチュエータの機能について理論的に算出することで,収縮型人工筋肉の実現について検討した.我々はポリジメチルシロキサン(PDMS)に砂糖を混合し,重合後に溶解することで多孔質エラストマーを合成することに成功した.さらにその応力歪特性からアクチュエータの性能について特定した.
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