研究課題/領域番号 |
16K14209
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
下野 誠通 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (90513292)
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研究分担者 |
河村 篤男 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (80186139)
藤本 康孝 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (60313475)
溝口 貴弘 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー, 「力を感じる医療・福祉介護次世代ロボット」プロジェクト, 研究員 (80759308)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 電気機器工学 / リニアモータ / 磁気ギア / モーションコントロール / 制御工学 |
研究実績の概要 |
本研究では、磁気ギア構造を内包する小型高出力な円筒形リニアモータの実現を目指している。平成28年度においては、まず磁気ギア部における磁束の変調原理および磁気ギアの減速比に関する理論式を導出した。そして、ラジアル方向に磁化した磁気ギアを内蔵する円筒形リニアモータモデルと、アキシャル方向に磁化した磁気ギアを内蔵する円筒形リニアモータモデルとの二種類を設計した。それぞれのモデルに対して、磁気ギア部単体、および磁気ギアとリニアモータとをシステム統合した磁気ギア内蔵円筒形リニアモータについて電磁界解析を行い、磁束密度分布やそのスペクトルについて精査することで、磁気ギア部の減速比の精度や最大伝達推力、モータ全体としての発生推力と推力リプルなどを調査した。そして、解析結果から、両モデルのモータ発生推力に大きな差が見られなかったものの、アキシャル方向磁化に基づく磁気ギアを内蔵する円筒形リニアモータのほうが低リプルであり、医療福祉支援ロボットなど精密な力制御性能が要求されるアプリケーションの観点から有用性が高いとの知見を得た。これらの解析結果を基に、固定子部材や可動子ボビンなど細かなパーツを加えた詳細な機構を設計すると共に、モータの試作に着手した。また、開発する磁気ギア内蔵円筒形リニアモータは、外側の高速可動子と内側の低速可動子との間に磁気バネ効果が生じ、二慣性共振系として振る舞うことが予想されている。そこで、二慣性共振系の振動抑制のための運動制御に関する研究にも着手し、開発モータに実装するための制御アルゴリズムの基礎検討も行った。さらに、次年度の試作機を用いた検証実験に向けて、モータドライブ部の検討なども行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、平成28年度においては、考案モータの解析モデル構築と電磁界解析による特性評価、試験装置の基礎設計まで完了することができた。次年度の試作完了と実証実験実施についての目途も立っている。また、運動制御理論研究やモータドライブ部の検討などにも着手しており、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度においては、モータ試験装置の試作を完了し、考案モータの性能評価試験を実施する。これにより、磁気ギア一体型リニアモータとしての動作原理を実証する。また、考案モータの高精度制御手法についての検討を継続して行い、モータ試験装置にアルゴリズムを実装して運動制御実験を行うことで、高出力モータとしてのモーションシステムへの応用可能性まで確認する。
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