本研究は、電気自動車の普及に向けて問題点を解決するため新しい給電法として、電磁誘導と容量移行を組み合わせたパルス給電を利用する走行中電気自動車への非接触給電法を実験を通して検証することを目的としている。 空心トランスやケイ素鋼板のコアを用いてトランスを用いて給電システムを製作し、回路パラメータによる動作特性の評価を行った。この結果、提案した給電法はエネルギー伝送が可能であることが実証でき、エネルギー転送効率は回路素子であるコイルとコンデンサの組み合わせに依存し、エネルギー転送効率が最大になる組み合わせがあることがわかった。また、回路抵抗の影響でエネルギー転送効率が低下してしまうため、コイルにリッツ線などを用いて回路抵抗の低減を行った結果、効率が改善された。今後、さらなる抵抗低減の工夫が必要である。さらに、コアを使用した装置は空心コイルを使用したときよりもヒステリシス損などの影響でエネルギー転送効率が低くなってしまったので、トランスの製作にも工夫が必要であることがわかった。静的な状態でコイルの位置ずれによるエネルギー転送効率の評価を行った結果、コイル直径の約8%の位置ずれまでは効率はほぼ変化はなかったが、それ以上の大きくなると効率は低下した。この結果、本システムはパルス給電なので、転送タイミングが重要となり、位置ずれの許容範囲で本システムが動作するように制御する必要がある。今後、現実に近い動的なシステムで実証実験を行うことが重要である。
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