研究課題/領域番号 |
16K14213
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
栗本 宗明 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70580546)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 誘電エラストマー / 電気有効利用 / エネルギーハーベスト |
研究実績の概要 |
平成28年度の研究成果を以下に示す. 1)誘電エラストマーの作製:0.5 mm厚のアクリル系エラストマーシートの両面に伸縮性電極を塗布し,誘電エラストマーを作製した.誘電エラストマーの伸張試験を実施した結果,エラストマーを破断させずに伸縮性電極の導電性を確保し,エラストマーの面積を5倍に広げることができた. 2)静電容量変化の計測とセンサ電極の設計:誘電エラストマーの伸縮変形に伴う静電容量変化を計測する電極系(主電極直径5 mm)を構築した.エラストマーの厚さが0.1 mm~0.5 mmの間で変化した場合に,少なくとも5 pCの静電容量が変化することを明らかにし,これを基にセンサ電極サイズを設計した. 2)発電回路の構築と発電動作の確認:密閉容器内の圧力変化により誘電エラストマーを伸縮変形させる振動試験装置を構築した.さらに,誘電エラストマーに小型直流電源,抵抗素子と接点スイッチを接続した発電回路を作製し,発電実験を実施した.その結果,誘電エラストマーの出力電圧を,伸縮変形しない場合に比べて約2倍に増加できた.これは,誘電エラストマーの充電電荷量を保持した状態で静電容量が減少したことにより,出力電圧が増加したためである.誘電エラストマーの持つ電気エネルギーは電荷量と電圧の積であり,電荷量が一定の場合に電圧はエネルギーの指標となる.この出力電圧の増加を測定できたことから,誘電エラストマーの発電動作を確認できた.次年度に発電量を定量的に評価する.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
伸縮性電極の導電性を保ちながらエラストマーを破断せずに伸張できる誘電エラストマーを実現し,その静電容量変化を測定し,センサ電極を設計した.さらに,誘電エラストマーの出力電圧の増加から,発電動作を確認したため,おおむね計画通りに進んでいる.
|
今後の研究の推進方策 |
1) センサ電極付誘電エラストマーの振動検出性能評価:昨年度に設計したセンサ電極を塗布した誘電エラストマーを作製し,その伸張変形に伴う静電容量変化から振動を検出する性能を評価する. 2) 振動センサ機能付き発電デバイスの基本回路設計:センサ電極の電圧変化を例えばコンパレータで読み取り,誘電エラストマーの充放電を制御する接点スイッチを切り替える回路を設計し,実装する. 2) 発電量と効率の評価:誘電エラストマーを用いた振動センサ機能付き発電デバイスを用いて,その発電量と効率を評価する.
|