研究課題/領域番号 |
16K14214
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中村 武恒 京都大学, 工学研究科, 准教授 (30303861)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 高温超伝導 / 誘導同期モータ / スタンドアローン / 固体冷媒 / 液体冷媒 / 冷凍機冷却 / 窒素 / ネオン |
研究実績の概要 |
本年度は、10 kW級高温超伝導誘導同期モータの設計、および同機の固定子を冷却する固体蓄冷媒ならびに微量液体冷媒の作製システムを開発した。以下に、研究項目を列記し、具体的に説明する。 (H28-1) 10 kW級高温超伝導誘導同期モータの設計: まず、冷却対象である10 kW 級高温超伝導誘導同期モータの電磁設計を行った。市販のかご型誘導機(3 相、4 極、定格出力: 1.5 kW@60 Hz)用銅固定子を使用するものとして、ビスマス系高温超伝導テープ材の使用を想定して高温超伝導かご型巻線の設計を行った。その際、非線形等価回路解析ならびに2次元電磁界解析を併用した。次に、高温超伝導回転子の冷却構造・方法の検討を行った。特に、銅固定子(固体蓄冷媒によって冷却)との熱交換を通して回転子を冷却するガス流路やガス量の検討を実施した。 (H28-2) 固定子冷却用固体蓄冷材‐微量液体ハイブリッド冷媒の実験系の構築: 固定子(積層ケイ素鋼板)を固体蓄冷媒‐微量液体ハイブリッド冷媒(固体窒素‐微量液体ネオンの組み合わせ、若しくは固体アルゴン-微量液体窒素の組み合わせ)を作製する実験系を構築した。上記検討は、既設のクライオスタットならびにガス導入用マスフローコントローラを使用して実施した。GM冷凍機によって冷却されるチャンバー内に、まず固体冷媒用ガスを封入して固体化した後、液体冷媒用ガスを微量封入してハイブリッド冷媒とした。 (H28-3) 最適冷却構造の設計: 10 kW 級試作機試験システムの最適設計を実施した。特に固定子冷却のための固体蓄冷材が回転子軸受部を凍結しない軸シール構造を中心に設計を実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
固体窒素‐微量液体ネオンハイブリッド冷媒の作製システムを構築し、試験を実施した。さらに、10 kW級機の電磁設計や上記ハイブリッド冷媒と組み合わせた試験系の検討を完了した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、前年度の結果をもとに、固体冷媒‐微量液体ハイブリッド冷媒中に、試作する高温超伝導誘導同期モータを設置して、回転試験を実施する。固体冷媒‐微量液体ハイブリッド冷媒としては、固体窒素‐微量液体ネオン、若しくは固体アルゴン‐微量液体窒素の組み合わせを対象とする。また、回転試験を異なる負荷状態にて実施し、モータの熱負荷と上記ハイブリッド冷媒温度の関係を精査し、当該冷媒の熱伝達特性を検討する。最終的に、GM冷凍機を停止してハイブリッド冷媒の蓄冷特性のみで回転試験を継続し、一定時間スタンドアローン運転可能なことを実証する。
|