研究課題
本研究の目的は、直流超伝導ケーブルによる電力系統のエネルギー貯蔵機能の創出である。環境への意識の高まりと電力自由化の流れから太陽光や風力を原資とする再生可能エネルギーの大量導入が期待されるが、これらの発電量は天候による時間変化が大きく、設備容量や周波数変動の問題から、現状の電力系統の受け入れ許容量はごく限られたものになっている。この観点から、発電量の変動を吸収できる電力貯蔵技術の確立が極めて重要な課題となっている。そこで本研究では、新しい超伝導ケーブルを用いた直流電力網を提案することにより、電力系統自体がエネルギー貯蔵機能を有する次世代電力ネットワークの実現可能性について検討した。平成28年度には、エネルギー貯蔵機能付き超伝導ケーブルの試作し、計画通りに損失なくエネルギーを貯蔵できることを確認した。また、試作した超伝導ケーブルを、リアルタイム電力系統シミュレータを用いたハードウェア閉ループ試験(HILS)に適用することで、エネルギー貯蔵機能付き電力系統の実規模相当の動作を模擬した。平成29年度には、エネルギー貯蔵機能付き電力系統の設計と波及効果の検証を行った。太陽光発電による出力変動を考慮した10 MW級マイクログリッドを想定し、このようなマイクログリッドに導入する超伝導ケーブルを設計するとともに、当該超伝導ケーブルを導入することを想定したシミュレーションを行った結果、電力系統自体が電池類もなしに系統容量と同じオーダーの高速・大容量の出力補償を行えることを確認し、本研究成果が再生可能エネルギー大量導入の決め手となる可能性を示した。
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IEEE Transactions on Applied Superconductivity
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