エポキシ・シリカナノコンポジットを作製し,同試料における絶縁油中のインパルス沿面放電耐電圧を評価した。その結果,無添加試料と比べると,1wt%のナノシリカ添加で沿面放電耐電圧が10%向上し,10wt%のナノシリカ添加では逆に10%低下した。この向上効果は,ナノ粒子の電子性キャリアトラップの影響が大きく関わっていると考えられる。 二次電子放出係数の測定結果から,ナノシリカ添加において二次電子放出係数がわずかに抑制されることがわかった。量子化学計算を実施し,ナノ粒子が深い電子トラップの働きを示すことを明確化できた。これらの結果が絶縁破壊電圧および沿面放電耐圧の向上メカニズムの一因であると推察した。
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